こんにちは、スズケーです。
EID MUBARAK!
日本は2019年8月11日はイード・アル=アドハー(パキスタンでは8月12日)。
パキスタンでは「バクラー・イード(ヤギのイード)」「クルバーニー・イード(犠牲祭)」とも言われたりします。
Eid al Adha
クルアーンや旧約聖書に記載の故事に倣った祝祭日です。
イブラヒームと言う預言者が、アッラーから「一番愛するものを生贄に捧げるよう」告げられました。
彼はアッラーに従い、一番愛する自分の子供を生贄に捧げようとするのですが、アッラーはイブラヒームの忠誠心を理解し
「代わりに羊を捧げよ」と告げると共に、彼の前に迷子の羊を送り、イブラヒームはこの羊を生け贄に捧げました。
これに倣ってイード・アル=アドハーの日、ムスリムの人々は
羊、山羊、牛、水牛、ラクダをアッラーへの捧げものとして屠り、家族や親戚同士で頂いたり、近隣の人にお裾分けしたり、貧しい人への施しとして振る舞ったりします。
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ペシャーワルで見たイード
私もだいぶ前に、パキスタンのペシャーワルのご家庭で、このイードのお祝いに参加させていただき、牛を屠るところも見学させてもらいました。
そこのあたりでは、熟練の屠殺職人さんが各家庭を回って順番に屠殺を行っているようでした。
屠殺が行われている間は、職人さん(外の男性)が来ていることもあり、女性たちは部屋の中で待機。
屠殺が終わったあとは女性たちが出て来て、みんなで手際よくお肉をカット。
なかなかの大人数で住んでいるお家ではありましたが、それでも牛一頭分のお肉は多すぎるので、一部をおうち用にし、一部はお振る舞い用に持っていかれていました。
この写真は首にナイフを入れられる前の写真ですが、牛の首にナイフが入れられてからどうなったかと言うのを詳細に妹にメールしたら「キモいわ」と言われました。
お金持ちの権力誇示の場に
ちなみにこの屠られた動物達のお肉の「お振る舞い」ですが…
最近は、お金持ちの方々が自分の経済力を誇示するためのツールにもなっているようで、
都心部なんかだと、お金持ちがこぞって「○○一族から贈られたラクダ」みたいに、モスク前で貧しい人への振る舞いを行ったりしていたりします。
もちろん、純粋に振る舞いの気持を持ってやってる方もいるのでしょうけれど、
やっぱり「○○一族はどれだけの寄付をした」みたいなのは人々の話題になりやすいし、
イードが、お金持ちが経済力を誇示して競い合う場になってしまうのも、何となくわからないでもないです。
フンザ(イスマイリー派)のイード
フンザ、というかイスマイリー派のイードの犠牲はちょっとシステムが異なっていて、家庭ごとに家畜を屠ることはしません。
各家庭は、ジャマットカーナーと呼ばれるイスマイリー派の集会所(礼拝所)に出来る範囲でイードのためにお金や家畜を寄付します。住む地域ごとに属するジャマットカーナーがあります。
ジャマットカーナーに集まったお金で家畜が購入され、屠殺され、そしてその地域の人々に全て平等に振る舞われます。
誰がいくら出したとか、そういうのは無関係だしわからない。
たくさんお金を出しても、少ししか出せなくても、全員に同じだけのお肉が振る舞われる、
本当の意味での「寄付・振る舞い」のシステムになっています。
日本でのイードの屠殺
さて、日本でも、パキスタン人らがイードの時にどこからつれて来たのかヤギなんかを屠殺していたりするのを時々見かけるんですが〜…
残念ながらあれ、多分違法なんですよね。
日本では食用となる動物が適切に処理され、食肉の安全を確保するために「屠畜場法」が制定されています。
屠畜場法で対象になっているのは牛、馬、豚、ヒツジ、ヤギで、
これらの動物を屠畜場以外の場所で食用目的で屠殺・解体することを原則禁止しています。
(ニワトリは「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」という別の法律で、検査や指定場所での処理が定められています。)
なので、パキスタンの方々が、ご自宅やらモスクやらヤードやらで勝手にヤギを解体してるの、あれ、通報されたら捕まるんではないかと思われます。
もしかしたら宗教的なお祝い事なのでと目をつむってもらえるのかもしれませんが…
まぁ、なんにせよ、今年も無事イードを迎えられたということで。
ムスリムの方々、おめでとうございます。
8月5日に、インド政府がカシミールに特権を付与する憲法370条を廃止すると発表した関連で、インドとパキスタンがまた少々ごたついているし、カシミールは荒れているけれど…
イードの間くらいは、カシミールの人々ものんびり平和に過ごせますように。
イードとパキスタン独立記念日で中パ国境クローズ
パキスタンは8月12日(月)がイード、14日(水)は独立記念日です。
フンジュラーブ峠にある、パキスタンと中国の国境は、土日祝は閉まっているため、下手をすると10日(土)〜18日(日)くらいまで国境が開いていない可能性があります。
この時期に中国からパキスタンへ行く方は必ず現地でスケジュール確認を!
スストに住む親戚の話では、8月16日(金)は以前から日本のツアーグループが通る予定が決まっていたため、この日のみ国境が開くそうです。
お読みいただきありがとうございました!
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ちょうどこの時にフンザにいまして、皆さん『今日はムスリムデーだ!ご飯を一緒にご飯を食べよう!ホテルに来なさい(泊まっていないホテル(笑))』とたくさん声をかけてくださいました。何のことか良くわかっておらず結局行かずでしたが…詳細に知れて為になりました!
yuさん
「ムスリムデー」とはちょっと説明不足すぎですね(笑)
ラマダーンやイードの時は、
フンザに限らず、パキスタンの色んなところでお裾分けのお声がけを頂けますよ。