こんにちは、スズケーです。
先日、パキスタンの最高裁判所がパキスタンの人口増加について懸念を表明、人口管理対策を求めています。
現在パキスタンは、中国、インド、アメリカ、インドネシアに次いで、世界で5番目に人口が多い国。
2017年度の国勢調査によると、パキスタンの人口は2億700万人を突破しています。
パキスタンより人口の多い中国、インド、アメリカ、インドネシアは、人口増加率はインド以外1%未満で、インドを含めても人口増加率はパキスタンがトップ。
このままでは数年のうちに人口数は世界4位になるだろうと言われています。
パキスタンの人口増加は時限爆弾
最高裁判所と医師会の懸念
パキスタンの最高裁判所は、急増するパキスタンの人口を「時限爆弾である」と表現し、
「多すぎる人口増加は国の資源への負担である。もし人口増加に歯止めが利かなくなれば将来的に大きな問題となるだろう。
一家庭に子供は二人を目安とするのが人口の制御に有効であり、これに関するキャンペーンが必要だ」と、
宗教学者や政府に対し、国内の人口管理を促進するための措置を講じるよう求めました。
急激な人口増加に対する懸念は昨年夏にも最高裁判所より声が上がっていましたが、これまで何の対策も実行されてきませんでした。
現在は2025年までに人口増加率を1.5%引き下げるための計画が考案されています。
パキスタン医師会もまた、急激な人口増加に懸念を表明しています。
2019年1月1日だけで、パキスタンでは15,000人の赤ちゃんが誕生しており、迫り来る災害であると述べています。
現在国民人口の60%が25歳を下回っており、2500万人の子供たちが学校に行かず、人口の30%が文字の読み書きが出来ず、90%がきれいな飲料水を確保する事が出来ません。
栄食料不足や栄養失調も大きな問題となっています。
次の世代のためにも、家族計画を実行してこれらの問題解決に取り組み、人々に優しい経済政策を作るために具体的な措置が取られるべきだと述べています。
家族計画政策と経済政策
パキスタン政府は、パキスタンが世界で最も避妊の意識が薄い国であり、無計画な妊娠が貧しい妊婦や新生児の命や健康を脅かすものであると認めていますが、現在それに対する有効な対策は行われていません。
子供達は幼い時から稼ぎ手の一人であるという意識のある貧困層にとっては、子供の数を制限する事は世帯収入を下げる事にもつながることになり、
家族計画を推進するためには、国民の避妊に対する意識改革や、知識の改善だけでなく、
国内のすべての世帯を特定の所得水準まで引き上げていくような経済政策も、同時に行っていく必要があります。
貧困を根絶し、社会経済的発展の機会に関して公平性を促進するためには、家族計画政策と経済政策との統合が重要となってきます。
イスラームと家族計画
数年前にトルコのエルドアン大統領が「避妊や家族計画を実行するのはイスラーム的ではない」と述べましたが、
国民の大半がイスラム教徒であるパキスタンでも、避妊や中絶は行うべきではないと考える人が多くいます。特に中絶に関しては、常に論争の的となっています。
ただ、同じく国民の大半がムスリムであるイランやバングラデシュではここ数年の人口増加率が徐々に下がってきていて、この両国に出来る事がなぜパキスタンにできないのか?という声も上がっています。
パキスタンは、避妊具や薬の使用など、国民から家族計画についての否定的な見方を排除するための意識向上キャンペーンを行う事が最初の課題です。
フンザの家族計画勉強会
フンザでは女性向けに、家族計画についての勉強会が行われていました。
女性の教育普及率が高いフンザならではでしょうか、家族計画の勉強会が功をなしているのか、徐々に子供の出産数も減ってきているような気がします。
ただ出来れば本来は、こういった勉強会は男女一緒に行うべきでは?という気もしないでもないですが…(男性向けの勉強会が行われているのかどうかは不明。私は見た事ないです。)
男性が協力してくれないのであれば、女性は、自分自身で自分の身を守るしかありません。
フンザの政府系の病院では、避妊のための処置として
- 避妊具(コンドーム)
- 経口避妊薬(ピル)
- 避妊注射
が用意されていました。
一番安いのはコンドーム。1つ1Rs。
しかし病院の女性スタッフ曰く、ほとんど売れないのだそうです。
理由は男性が使いたがらないからだそう。
では経口避妊薬(ピル)が主な避妊方法なのかな?と思ったら、
こちらは毎日継続しないといけない上に値段が高価なため使用する人が少なく、避妊方法として主流となっているのは避妊注射。
避妊注射は1回数十Rsで、約3ヶ月間効果が持続するそうです。
ただ、一緒に見学に行った日本人女性のお医者さんがその避妊注射薬を確認したところ、
避妊効果も強いけれど、副作用の懸念もある薬が使われていると言っていました。
日本では使われていない薬だそうです。
名前を忘れてしまいましたが、調べてみたところ、デポ・プロベラかな…?
不正出血、吐き気、体重増加、倦怠感、鬱などの副作用があるよう。
コンドームを使いたがらないだけでなく「避妊をしている」ということ自体を認めない男性も多く、自分の旦那さんに内緒で避妊注射を打ちにくる女性もいるそうです。
間隔を空けない妊娠は子供にもよくないし、妊娠・出産が女性の体にどれだけ負担をかけるかということを、男性側もきちんと理解して、計画出産に協力すべき。
そのためにはやはり、男女合同…は無理でも、男性側にも家族計画についての勉強会は必須だと思います。
パキスタンの人口問題と今後
先程述べたように、パキスタンは国民人口の60%が25歳を下回っています。
これは、国民の半数以上を占める子供や若者に対して、教育や医療の投資が大量に必要である事や、それだけの人々のための雇用機会を作っていかなければいけないということを意味します。
果たして今のパキスタンにそれだけの事をする余裕があるのか?と思いますが、
人口が急増した地域は社会的な不安定が怒りやすく、生活が苦しくなればそのはけ口を求めて狂信的なテロ行為にも賛同しやすくなるという専門家の意見もあり、
人口問題は、早急に対応をしていかなければならない課題だと思います。
その国の文化や宗教、教育、経済に深く関わる問題であるゆえ、なかなか対応が難しいところではあると思いますが、
パキスタン政府や宗教関係者が一体となり、効果的な取り組みがしていけるといいですね。
お読みいただきありがとうございました!
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子宮に入れるリングが候補にあがらないのはなぜなんでしょう?
長期的にみればコスパがいいと思うんですが。副作用もないし。
osramさん
IUDは、都市部ではやっているのではないかと思います。
実際、知り合いのパキスタン人女性でいれているという人いましたし。
ただ、フンザのその病院の場合は女性の医師もいなかったですし、
田舎なので技術的・設備的な面で無理なんだと思います。
2人の子供の写真はすずけーさんが撮ったの?なんかインパクトあるね。
ひろさん
これはフリー素材だよ〜。