こんにちは、スズケーです。
最近は日本でもインド映画が公開される事が増えてきました。
現状、どちらかと言うと、タミル語やテルグ語などの南インドの映画の公開の方が多いのかな?と言う気がしますが、
「ボリウッド映画」等と呼ばれる、ムンバイで作られた映画もちょいちょい見かけます。
パキスタンの主要言語はウルドゥー語、インドの主要言語の一部はヒンディー語。
言語としては別扱いなのですが、口語的には共通点が多く、お互い問題なく会話が出来る事もあり、
インドで作られたヒンディー映画はパキスタンでも人気です。
過去にはそれをテーマにした映画が作られた事も…
そして実は、インドのヒンディー映画界で活躍する俳優さんの中には、
ルーツがパキスタンにあるという方も何人かいたりするのですよー。
パキスタンとインド映画
インド映画はボリウッドだけじゃない
インドは年間映画製作数が世界一の映画大国です。
長編・短編あわせると、年間約2000本の作品が公開されています。
インド映画と言うと「ボリウッド」ということばを聞いた事がある人も多いのでは。
時々勘違いしている人がいるのですが、インド映画=ボリウッド映画ではありません。
インドは大きな国で、地域によって異なる言語が使われている多言語国家であるため、インド国内で制作される映画も、複数の言語で制作されていて、それぞれ主要な制作拠点が異なります。
「ボリウッド」とは、北インドのムンバイで制作されたヒンディー語映画のこと。
ムンバイの旧名・ボンベイとアメリカのハリウッドをもじって、「ボリウッドフィルム」と呼ばれています。
大昔に日本で大ヒットしたラジニ・カーント主演の「ムトゥ・踊るマハラジャ」は、南インドのタミル語の映画です。
タミル映画はチェンナイのコダムバカムにあるスタジオで作られているので「コリウッド」と呼ばれます。
最近大人気の「バーフバリ」や「RRR」はテルグ語の映画で「トリウッド」、
ベンガル語映画も同じく「トリウッド」で、マラヤーラム語映画は「モリウッド」など、
制作される地域・使用言語によって、「○○ウッド」の呼び方は変わってきます。
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私自身は、パキスタンにいる時にこの言葉を聞いた事はあんまりないけど。
パキスタンに縁のあるボリウッドスター
ヒンディー映画=ボリウッド映画で活躍する映画俳優さんの中には、実はパキスタンに縁のある人もチラホラいます。
パキスタンとインドは常に対立していると認識されていますが、それは政治の上での事。
パキスタンとインドは元々一つの国で(バングラデシュも)、両国がイギリスから分離独立したのは1947年のこと。
まだ80年も経っていません。
国境線がひかれてしまったものの、
2つの国には今も多くの共通する文化、伝統、習慣があり、
パキスタンとインドに別れて暮らす家族・親戚もまだまだたくさん存在します。
「分離独立時に離ればなれになってしまった家族や親戚が再会した」というニュースは、今もパキスタンやインドを度々賑わせ、
同じ境遇の人々の涙を誘い、そして希望を抱かせています。
こういった事を考えれば、
インド映画界で活躍するボリウッドスターの中に、パキスタンにルーツを持っていたり、親戚がパキスタンにいる人がいるのも、驚く事ではありません。
パキスタンにルーツのあるボリウッドスターとして、真っ先に名が挙がるのは多分この人。
シャー・ルク・カーン。
シャー・ルク・カーンのお父さんであるミール・タージ・ムハンマド・カーンは、ペシャーワルのキサハニバザール出身。
1946年からデリーの大学に進学しており、そのまま1947年のインドとパキスタンの分離独立を迎えました。
パキスタン側にいる彼の兄達が、独立分離ではなく、ガンジー同様”1つの国としてのまとまった独立”を支持して独立運動に参加していたため、インド側にいたミールも新政府に睨まれる事となり、
パキスタンへの入国できぬ状態のまま印パ戦争が勃発し、ペシャーワルへの帰郷が困難に。
そのままインド側で生活を続け、結婚をし、ミールの息子としてインドで生を受けたのがシャー・ルク・カーンです。
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シャールクのルーツがパキスタンのペシャーワルにある、と言うのはとても有名な話ですが、
彼の他にもたくさんのボリウッドスターが、実はパキスタンに何らかのルーツを持っていたりします。
父親のミール・タージ・ムハンマド・カーンがKPK州ペシャーワル出身。
ペシャーワルにはいとこをはじめとする親戚が住んでいて、シャールクも何度か訪れている。
ペシャーワルの人々にも「ここにはシャー・ルク・カーンの家がある」と有名。
母親のテジ・バッチャンがパンジャーブ州ファイサラバード出身。
父方の祖父がパンジャーブ州グジュランワーラー出身の作曲家。
母方の祖父もパンジャーブ州シアルコート出身。
両親共にパキスタン出身。
元俳優で後に政治家として活躍した父親のスニル・ダットはパンジャーブ州ジェールム生まれ。
母親でボリウッド史上最高の女優の一人ともいわれるナルギスはラワルピンディー生まれ。
父親で俳優のスレーシュ・オベロイがクエッタ生まれ。
祖父母がカラチ出身。
彼自身も大学在学中にカラチを訪れている。
父親で俳優のアルン・クマールはパンジャーブ州グジュランワーラー生まれ。
母親のニルマラ・デヴィはボリウッドのプレイバックシンガーとして活躍したが、パキスタンでもクラシック歌手として人気があった。
ランビール・カプール、カリーナ・カプール、カリシュマ・カプールなどの曽祖父であり、ラージ・カプールの父である俳優のプリトヴィーラージ・カプールが、パンジャーブ州ファイサラバード生まれ。
現在ボリウッドに君臨するカプール家の礎を築いた人物。
カプール一族はみなパキスタンにルーツがあることになる。
叔母やいとこがシンド州カラチに住んでいて、彼らを「大切な家族」であると発言。
過去に何度かパキスタンを訪問している。
パンジャーブ州ラホール出身。
KPK州ペシャーワル出身。
有名なインド映画俳優さんで、パキスタンと何らかの縁がある人々はこんな感じ。
きちんと調べればこの他にもまだまだたくさんいるのではないかと。
日本でも有名なボリウッドスターも、実はパキスタンにルーツがあったりするのか!と思うと、感慨深いものがあります。
ペシャーワルのキッサハーニーバザールなど、特にボリウッドスターと縁の深い街などもあり、
パキッスタントボリウッド、調べると色々と興味深い事が出てきますね!
とっても残念な事ですが、
有名な俳優さんが、パキスタンにルーツがあるということで、極端なインド愛国主義者に叩かれる事もあります。
シャー・ルク・カーンは、パキスタンにルーツがあり、ムスリム(イスラム教徒)ということで、度々こういった問題に直面していて、
「私がムスリムであるということで、100%インド人だと認められないことがある」
と言っています。
シャールク自身はムスリムですが、妻のゴウリ・カーンはヒンドゥーの異宗教夫婦。
彼ら家族はイスラムとヒンドゥー、双方の祝祭事を大切にしていますが、子供達に宗教を強制する事はしていないそうです。
子供たちが宗教の記入欄がある学校の書類を持ってきて「私達の宗教は何か?」とシャールクに質問を投げかけた際には、「宗教はない。ただインド人と書きなさい」と答えたとか。
※本来イスラームでは、ムスリム男性は同じ経典の民である一神教の女性としか結婚できないとされていますが、インドにはこのような異宗教夫婦はそこそこといます。
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冒頭で、シャールク演じるカビール・カーンが、パキスタン人と親しくした事やムスリムということで誤解され、売国奴のレッテルを貼られてしまうのですが、
この役は彼そのものだな、と思っています。
作中では、宗教ではありませんが、シャールクが出身州別の対立やアイデンティティーを一蹴し「自分達はインド人である」と諭すシーンがあります。
ちなみに、シャールクはインド人である事に誇りを持っていますが、
パキスタンとインドの間で何か問題が起きた場合など、一方的にパキスタンを責めたりインドを持ち上げたりする事はせず、
大体の場合沈黙を守っています。
パキスタンに親戚がいるのに、パキスタンが好きだとかそういうことをあまり公言できない人々は、なにかと辛い事もあるだろうなと思います。
もうちょっと、みんなが寛容になれると良いのですが。
インド人だけでなく、パキスタン人も大好きなボリウッド映画。
日本で見る機会があったら、俳優さんのバッググラウンドにも想いをはせながら見てみると、ちょっと楽しいかもしれません。
冒頭でも紹介しましたが、
映画を通じたインド人とパキスタン人の交流を描く「FILMISTAAN」。
とってもおすすめなので、機会があればぜひ見てくださいっ。
お読みいただきありがとうございました!
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すずけーさんは言葉がわかるから楽しいだろうな。うらやましいな。 ないものねだりの ひろより
ひろさん
映画だと、ジャンルによっては知らない単語がいっぱい出てきて
あまりわからない事もあるけどね。
最近は日本でもいくつかインドの映画が公開されてるので、
興味があれば、そういうのから見てみるのも良いのではー!