パキスタンあれこれ

フンザでも撮影!パキスタン映画「娘よ」

パキスタン映画「娘よ」

こんにちは、スズケーです。

日本で初めて公開されるパキスタン映画として、2017年春に公開された「娘よ(原題:Dukhtar)」。

パキスタン映画は、9.11をテーマにした「神に誓って(Khuda kay Liye)」が、映画祭などで日本でも上映されていたと思うのだけれど、
あくまでも「日本での一般上映は初めて」ってことなのかな?

この「娘よ」、私が住んでいたフンザでも撮影がされています。

 

娘よ(Dukhtar)

パキスタン映画「娘よ」

娘よ(原題:Dukhtar)

  • 製作国:パキスタン・アメリカ・ノルウェー
  • 制作:2014年
  • 上映時間:106分
  • 監督 : アフィア・ナサニエル
  • 出演 : 
    サミア・ムムターズ、サレア・アーレフ、モヒブ・ミルザ
  • あらすじ:
    パキスタンとインド、中国の国境にそびえ立つカラコルム山脈。その麓には多くの部族がひしめき合っていた。
    そのうちの一つの部族に属する若く美しい母アッララキの生き甲斐は、10歳の娘ザイナブと過ごす時間だった。
    だが部族間でのトラブル解決のために、ザイナブと相手部族の老長老との結婚が決められてしまう。
    アッララキの一番恐れていたことが現実となった。これで娘の人生は終 わってしまう。自分が15歳の時に経験したのと同じように…。
    決して抗うことのできない鉄の掟。掟に背く者には死が待つのみ。だが、意を決したアッララキは結婚式当日、娘を連れて部族を離脱。
    一方、体面と誇りを傷つけられた両部族は共同で二人の追跡を開始する。 果たして二人の行方に待つものとは…。引用元:パキスタン映画「娘よ」公式サイト

「娘よ」は、パキスタンの村で起こった実話をもとに、アフィア・ナサニエルというパキスタン人女性監督によって作られた映画です。
監督・脚本・プロデュースはこの作品がデビュー作だとか。

第87回アカデミー賞外国語映画部門のパキスタン代表にも選出され、
クレテイユ国際女性映画祭観客賞、ソノマ国際映画祭最優秀作品賞など数多くの賞を受賞しているそうです。

 

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「娘よ(Dukhtar)」あらすじ(ネタバレ)

ここから先は、映画の内容やラストのネタバレがあります。

パキスタンとインド、中国の国境にそびえ立つカラコルム山脈。
その麓には多くの部族がひしめき合っていた。

そこに暮らす10歳になる幼い娘・ザイナブは幸せな結婚を夢見るどこにでもいる女の子。
文字の書けない母親アッララキに読み書きを教えたりしながら、慎ましくも穏やかな生活を送っていた。

パキスタン映画 娘よ

しかし女達の平穏な日々をよそに、男達は部族間の紛争の真っ最中。
お互いの部族の親戚や仲間が報復合戦の連鎖に巻き込まれる、不毛な争いが続いていた。

アッララキ夫ドーラットは部族の長。
紛争相手の部族の長トール・グルに関係回復のための話し合いをしているところだった。トール・グルは、紛争解決の条件の提示として、ドーラットの娘ザイナブを自分の嫁に欲しいと要求し、ドーラットは苦渋の決断の後、それを了承する。

このことを知ったアッララキは、
かつて彼女自身も15歳でずいぶん年の離れた相手であるドーラットに嫁がされてきた過ことを思い出す。
一番恐れていたことが現実となった。これで娘の人生は終 わってしまう。自分が15歳の時に経験したのと同じように…。

部族間での締結された結婚の約束を破棄にすることは、家族のみならず、親戚縁者、全部族にも計り知れない不名誉を与えてしまう行為であり、許されることではない。
しかし意を決したアッララキは結婚式当日、娘を連れて村からの脱走を試みる。

アッララキ

体面と誇りを傷つけられた両部族は共同で二人の追跡を開始。
母親アッララキと娘ザイナブの命がけの逃避行が始まった。

追跡者たちから危機一髪で逃れた逃れた母娘は、偶然出会ったトラックドライバーのソハイルに助けを求める。
巻き込まれるのを恐れて一旦は断るソハイルだが、時すでに遅し。
事情を知らなかったとはいえ、一度二人をかくまったことにより、ソハイルも追っ手に狙われることに…

後戻りができなくなったソハイル。
道すがらの休憩所でソハイルと再開した友人も、追っ手によって撃ち殺されてしまう。

追跡の厳しさが増していく中、故障して動かなくなったトラックを放棄。
3人は見渡す限り周囲には何もない砂漠のような広大な大地を歩き、野宿をしながら、ソハイルの親友の家へと向かう。

パキスタン映画 娘よ

ソハイルの親友の家にたどりついた3人は、ほんのつかの間、心休まる時間を過ごす。
お互いのことを語り合ううちに、アッララキとソハイルがいつしかお互いに恋心を抱き始めたのもこの頃だった。
また、アッララキは、長い間顔を合わせていない母親に会いたい思いが募り、危険を承知の上で母親と連絡をとり再会すること決める。

ソハイルとアッララキ母娘は、アッララキの母親と待ち合わせたラホールの街に向かう。
ラホール到着後、一旦ソハイルと別行動をとっていたアッララキ母娘はアッララキの母親に再開した直後、追っ手に見つかり路地裏に連れ込まれてしまう。

そこに駆けつけたソハイル。
追っ手と揉み合いになり、ソハイルは追っ手を射殺するが、その直前に相手の放った銃弾がアッララキに当たってしまう。

ソハイルの運転する車で車で病院に向かう中、
ザイナブが必死に呼びかけるも、次第に意識が遠のくアッララキ。

遠のく意識の中、アッララキは、15歳の時に母親と別れて河を渡った昔を思い出すのだった…

「娘よ(Dukhtar)」の感想 気になった点

私はこれ、映画館で見てきました。
日本語字幕付きなのでわかりやすーい。

部族間紛争のコマとして女の子が使われる問題にスポットを当てたのは、画期的で面白いと思いました。
でも、なんか色々内容に矛盾があるのが非常に気になる。

まず前半。

主人公母娘、アッララキやザイナブの住む村、部族間問題のシーンはフンザで撮影されています。
公式サイトにも「パキスタンとインド、中国の国境にそびえ立つカラコルム山脈」という表現があるので、舞台はフンザ周辺と言う設定なのかな?と思いきや、
パンフレットには「娘よの舞台となった地域FATA」という紹介が。
FATA(トライバルエリア)=旧連邦直轄部族地域はアフガニスタンと国境を接するあたりの地域のことで、
カラコルム山脈の麓ではなく、ヒンドゥークシュ山脈の麓にあります。
うーん、設定が曖昧なのか、日本の広報担当会社があまり良くわかっていないのか。

会話は主にウルドゥー語なんですが、時々パシュトゥー語が入ります。
その使い分けタイミングが滅茶苦茶で、必要性がわからない。
そもそも舞台がカラコルム山脈周辺(フンザ)ならばブルシャスキー語を使うはず。
パシュトゥー語を使うということはやっぱりトライバルエリアが舞台?
でも、会話の中で出てくる地名にはフンザ周辺のものがあったりして、何がなんやらわかりません。

主人公親子は、バローチスターン州のバローチドレスや、パシュトゥンのケミスを着たりしています。
パシュトゥンなの?バローチなの?

そもそもフンザにはこういった部族間の争いはないので、
となるとやっぱりトライバルエリアが舞台のつもりなのかもしれません。
地名がフンザ周辺のものなのは謎ですが。
つか、トライバルエリアが舞台なら、カラコルムハイウェイを逃げるというのもおかしい…

アッララキとザイナブ母娘がトラックドライバーのソハイルという男性に助けられ、フンザからアトックに向けて彼のトラックで逃げるシーンがあります。
トラックが故障して、やむを得ず途中で捨てるのですが、カラコルムハイウェイは一本道。
夜もバスやトラックなどが通るので、あんなとこにトラック置きっ放しにしたら、すぐに足がついてしまいます。
あれじゃ逃げられないよ!

また、主人公アッララキは、自分自身が部族間の紛争の解決のために、相手部族に15歳の時に花嫁として差し出されたということですが、
どうやら彼女の母はラホール在住。
そして、アッララキ自身もラホールで育ったような会話が…
何故ちゃきちゃきのラホーリーが、部族エリアの長のところに嫁に出されるのか…
例えトライバルエリア出身でラホールで学んでいたのだとしても、
彼女が結婚したあともお母さんが一人でラホールに住んでいるというのもちょっと非現実的です。

パキスタン映画 娘よ

「娘よ」の監督・アフィア・ナサニエル氏は、クエッタ出身で、現在は海外にお住まいだったそうなのですが、ここらへんの矛盾というかおかしなところなどは、そのせいなんでしょうか…?

フンザで撮影、地名もフンザ、でも時々パシュトゥー語使ってて、主人公親子はパシュトゥンの服着たりバローチの服着たり。そしてラホールっ子(ラホールが地元か、学業で住んでいただけかは不明)が部族地帯に花嫁に差し出されちゃう。

なんかもうほんと、設定が滅茶苦茶で残念です。
もう少しちゃんと、内容を詰められなかったのかなー…

題材が良いと思うので、そのツメの甘さがとても残念でした。

フンザや部族エリアに関する細かな知識がなければ、このような矛盾点も気にならないのかもしれませんが、
ここら辺もっときちんと詰めておけば、より説得力があるものになったのではないかな。

トラックドライバー ソハイル

あと、パンフレットとかには「危険な部族地帯での撮影」と書かれてましたが、
私の見た限り、撮影されているのはフンザやカラコルムハイウェイ付近のみ。
部族地帯とか、そんな危険な場所は全く出てきませんでした…

やっぱり、ホントのトライバルエリアでの撮影はできなかったんでしょう。
このテーマで映画を撮りたいとか、ジルガが許すはずないもんね。
できなかったのに、そこで撮影したかのように煽るのは如何なものかと思います。

 

突っ込みどころの多い映画でしたが、細かいところを気にしなければ
美しい景色も楽しめるし、なかなか面白いと思います。

スズケー
スズケー
ドライバーのソハイルがトラックを運転しながら
「カーッ、ペッ!!」ってタン吐いてるのがリアルでよかった(笑)

2018年も再上映

この秋にはまた東京で再上映しているようなので、興味のある方は見に行かれるといいと思います〜。

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スズケー
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フンザ出身のパキスタン人と国際結婚しています。 デザイナーとライターとアーティスト、時々通訳をしつつ、 投資もやってます。 お金稼いでパキスタンと日本とインドと、好きに行ったり来たりしたい。
 
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