こんにちは、スズケーです。
先日、バックパッカーのバイブルと呼ばれた沢木耕太郎さんの紀行小説「深夜特急」を
俳優の大沢たかおさん主演で映像化したドキュメンタリードラマ「劇的紀行 深夜特急」全3作品が、
日本映画専門チャンネルで一挙放送されました。
どうやら今日もこれから、深夜に3本一挙放送するみたい。
うちにはテレビがないので見れないのですが、
色んな方がSNSで感想を述べあっているのを見て私も見たくなり…
こないだDVDを引っ張りだしてきて一人で見ました。
深夜特急は、私がインドやパキスタンを一人で旅行するようになるきっかけを与えてくれた作品です。
私の深夜特急
私が最初に深夜特急を知ったのは、沢木耕太郎さんの紀行小説「深夜特急」ではなく、
このドラマ「劇的紀行 深夜特急」でした。
元々は1996年、97年、98年の年末に、それぞれ1作づつ放映された作品のようですが、
私が見たのはそのリアルタイムではなく再放送。
確か父親がテレビで再放送を見ていて、他事をしていたはずの私もそのまま見入ってしまった…という感じだったと思います。
「劇的紀行 深夜特急」を初めて見た時はすでに、ホテルと移動の列車のみを手配してもらうスケルトンのツアーでインドへは行った事があったのですが、
バックパック旅行という言葉も、バックパッカーという旅行の仕方も知らなかったので、
こういう旅行の仕方があるんだ!と、ものしごく新鮮に感じ、見ているだけでワクワクしたものでした。
その後、所謂バックパック旅行で自分も一人でインドに行くようになり、
旅行中にヒンディー語を覚え、パキスタンにも足を伸ばすようになり、
インドやパキスタンが大好きになり…
「劇的紀行 深夜特急」のDVDを購入していたため、
数年に一度、主にインドやパキスタンがメインとなる第2便の「’97~西へ!ユーラシア編~」を何度も見返していたのですが、
同じ作品でも、
インドやパキスタンに行く前と、行った後とで見えてくるもの、気がつくものは違うし、
英語も何もわからなかった時に見るのと、ヒンディー語(ウルドゥー語)がわかるようになってから見るのとでも全然違って、
見るたびにいつも、懐かしさだけでなく、新鮮な気持ちで見れたものでした。
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劇的紀行 深夜特急にみるインド
私にとって、劇的紀行 深夜特急のインドと言えば、ムケ(作中のテロップでは「モケ」と出ています)。
ネパールからインドに戻り、ヴァラナシにやってきた大沢たかお演じる沢木耕太郎に、
「カミサマ カウカ?」と、ヒンドゥーの神々の人形を売ろうとする、日本語を話すインド人の少年です。
彼は今もヴァラナシにいて、ダシャーシュワメードガート(メインガート)近くでモホニーシルクショップというお土産屋さんを経営しています。
びっくりするくらい日本語が上手です。
最後に会ったのは5年くらい前ですが、本人曰く「オレももうオッサンになった」。
実はムケは深夜特急に出演しているだけでなく、
堀田 あきお・かよさんの旅行漫画「聖なるインド、はるかなネパール―アジアのディープな歩き方2(元々の本のタイトルは”インドまで行ってきた!―Asian deep walking”)」のヴァラナシ編でも
キーキャラクターのムケのモデルになっています。
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私が初めてムケに会ったのはダシャーシュワメードガートで、たまたま会った日本人男性と二人で立ち話をしている時に、
「日本人?どうしたの?なにか困ってるの?」と声をかけられたのがきっかけでした。
もんのすごく日本語の流暢なインド人だなと思い、そのまま話していたら
彼は自分の名前をムケだと名乗り、
その時すでに、「深夜特急」も何度も見ていたし、「インドまで行ってきた!」も読んだあとだった私は、
「ムケ?あ、もしかして深夜特急のムケ?」と気がついたのでした。
それからちょくちょくムケの店に出入りするようになり、ヴァラナシに行くたびにムケの店で寛ぐように。
今ではムケは私がインドで信頼・信用している人の一人です。
私自身はムケの店ではほとんど買い物はしないのですが、
ムケはそんな私にもものすごく親切で、何年ぶりに突然店に顔を出しても、すぐに名前を読んでくれるし、私のお茶の好みをずっと把握してくれているし、
私が雑貨屋の買い付けをする時もフォローしてくれるし、
本当に何から何まで、ものすごくお世話になっています。
ムケは誰にでも同じくらい親切です。
ムケが深夜特急に出たきっかけは、
深夜特急の撮影スタッフの日本人に、例の神様人形をちょっと高めに売った事だったそうです。
その後、撮影クルーのインド人コーディネーターに声をかけられ、
人形を高く売った事を怒られるのかとビクビクしたそうなのですが、言われたのは「ドラマに出ないか?」。
最初は騙されているのかと思って怖くてすぐに返事はできなかったそうで、
母親にも相談したけれど、自分で考えろと言われ、
最終的に勇気を出して挑戦してみる事にしたんだそうです。
深夜特急のドラマ内でムケが売っていた神様の人形は、今もお店に飾ってあります。
深夜特急というドラマが、一人のインド人の少年の人生が変わるきっかけになるとか、
これこそなんだかちょっとしたドラマみたい。
劇的紀行 深夜特急にみるパキスタン
ヴァラナシからデリー、そしてアムリトサルを経由し、大沢たかお演じる沢木耕太郎は国境を越え、パキスタンに入ります。
旅のテーマは「インド・デリーからロンドンまで乗合バスでいくこと」。
当然、パキスタンでは、名物のギンギラバスが出てきます。
私も市内の短距離移動とかでちょっと乗った事はあるけれど、
ラホールからラワルピンディーまでこれで行くのは、時間もかかるしシートも狭いしちょっとヤダ(笑)。
大沢たかおはラワルピンディーで、サダルにあるアルファーラーホテルに泊まっているのですが、
ここ、私が初めてパキスタンに行った時に泊まったホテル。
その時は気がついてなかったのですが、パキスタンに行くようになってから深夜特急を見返していて、あれっ!っと気がついたのでした。
パキスタンでのちょっとした事件として
映画を見にいった映画館で、つまらないからと途中で席を立ったところ、
映画館に爆弾を仕掛けたと疑われ、警察に捕まりそうになるシーンがあります。
これはサダルのMurree rd沿いのMoti Mahal Theatreというところで撮影しています。
ラワルピンディーのシーンでは、私がいつもウロウロしているところがいっぱい出てくるので、見ていて楽しい。
初めてみた時は大沢たかお同様、パキスタンの人々が何を話してるのかわからなかったけれど、
ウルドゥー語がわかるようになった今は「こんなこと言ってるんだ」って聞き取れるのも楽しいです。
パキスタン編でちょっとだけ気になるのは、イランへ向かうためのルート。
大沢たかお演じる沢木耕太郎は、テヘランを目指してラホールから最短ルートでペシャーワルからハイバル峠を越え、アフガニスタンを目指そうとするとするのですが、アフガニスタンは内戦中。
ペシャーワルまで行くものの、アフガニスタンへ入国する事ができず、イラン・パキスタン国境のタフタンの国境へ向かうため、一度ラホールに戻り、ラホールからムルターン、サッカル経由でクエッタを目指します。
これがかなり不思議で。
このとき彼はテヘランまでの道のりを急いでいたのだから、
ペシャーワルからサッカルに向かうなら、ラホールまで戻らなくても、
ラワルピンディーからファイサラバード経由で行けるのに…と。
ペシャーワルでバスに乗る時とかに「サッカルに行きたい」といえば、みんな親切に最短ルートを教えてくれると思うのですが…
もしかしたら当時はまだ、ファイサラバード経由の高速道路が整備されてなかったからとか?
こういうのから時代の流れを感じるのもまた一興です。
深夜特急が、旅の仕方を教えてくれた
私にとって「劇的紀行 深夜特急」は、
バックパック旅行という旅の仕方を知るきっかけとなったもの。
ドミトリー(大部屋)という宿泊スタイルがある事も、
国境を陸路でいくつも越えていけるということも、
旅行だからと言って特別何もしなくても現地の人とただ話したりお茶を飲んだりするだけでも、なんなら一日部屋でゴロゴロするだけでもいいことも、
別にそういうのもアリなんだって、全部この作品で知ったし、
「私は自由に、どこにでも行けるし、好きな事ができるんだ」って気付かせてくれました。
何度見ても良いなって思うし、多分これからも、ふとした時に何度も見るだろうなって思う作品です。
最近は、「劇的紀行 深夜特急」はもちろん、原作の紀行小説「深夜特急」のことも知らない旅行者も増えてきているけれど、
もし誰かに、なにか好きな旅行関係の本はあるって聞かれたら「深夜特急」と合わせて「劇的紀行 深夜特急」も絶対紹介したいなって思います。
「劇的紀行 深夜特急」、まだ見た事がないっていう方は、ぜひぜひどうぞ!
オススメです。
この「劇的紀行 深夜特急」、「完全版」というメイキングや未公開シーンが収録されているVHSビデオがあるのだけれど、
残念ながらDVDでは出ておらず、もうずっと、テレビでの再放送もされていないみたい。
多分私は、それは見た事がないはずなので、
いつか見る機会があれば…と、密かに楽しみにしています。
お読みいただきありがとうございました!
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