こんにちは、スズケーです。
前に「越境の人類学 在日パキスタン人ムスリム移民の妻たち」という本を読んで記事を書いた時に、
パキスタン人と結婚しているけれどイスラームに関しては何もやっていなくて、
またそれについて誰かに話すことも相談することも出来ない「可視化されないマイノリティ」な日本人女性のことについて触れました。
今回はそれに関連して「人と違うこと」についての考察を。
目次
イスラームをやってない奥さん達の集まりをしてほしい
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この本を読んで前述の記事を書いたあと、こんなメールが来ました。
私の感想は
「え、そういう構想があるのならば、自分で開催したらいいんでないの…?」
なんですが…
でもまぁ、そういうイベントを主催するからには、オンラインで匿名で出来るとはいえ
「自分はイスラームをやってない・興味ない=人と違う」ということを宣言しないといけないというわけだし、自分からそれをやりだす程の勇気がなかなか出ないのでしょうね。
ネット、モスク、イベント等々で存在を確認できる「パキスタン人と結婚している日本人女性」は、レベルの差はあれど「イスラームを実践している」人の方が多い。
なので、そうではない人が「パキスタン人と結婚しているけどムスリムじゃない」と言ってる私を見つけ、連絡して、
「みんなで集まる場を設けてほしい」といってくる心理は、理解できなくもないです。
ただ残念ながら、私自身がそういう「パキスタン人と結婚している、イスラム教をあまりやっていない・興味がない奥さん同士で共感しあうこと」をさほど必要としていないので
そういうのを主催しようとは思わないので、
いただいたメールには「ごめんなさい、そういった予定はないです」と返信いたしましたが…
でもやっぱ、こういう需要はあるのだなというのはわかって、大変興味深かったです。
やってるのに「やってない」 謙遜が圧になる
その後も色々調べてて思ったのが、
日本人独特の「謙遜」的な言葉が、「可視化されないマイノリティ」である、イスラームを全くやっていない日本人の奥さんに
無意識で圧を与えている場合もあるのではないか、ということ。
私みたいな特定の宗教に属してない人や、
結婚のためにイスラームに入信していても本当に何も実践をしていない人から見れば、
“ラマダーンには断食をする””パキスタン人男性の前でアバヤ着る”、ただそれだけでも、
「この人はイスラーム的なことをちゃんと気にして実践してる人だな」と見えるし、感じます。
けれどそういう“イスラームを実践している人”でも
「私はイスラームそんなにちゃんとやれてないので〜」と言っていったりする。
理由はわかりませんが、テスト前に勉強してるのに「勉強全然してない」とか言うお約束の発言パターンと同じようなものだと私は思っているので、こういう自己申告は気にしないし参考にしない。
私はこういう日本人っぽい謙遜は「ああ、はいはい」と思う程度で別にそれほど気にならないのですが、
パキスタン人と結婚しているのに自分は他の人と違ってイスラーム的なことを何もしていないということに引け目を感じていたり、自分のしていることに自信が持てない人の中には、
こういう発言を聞いて
「ラマダーンの断食もしてて、服装も気にしてる人が”ちゃんとやれてない”のなら、
自分はなんてダメなんだろう…」
って、自分のことを卑下してしまう人もいるのではないか、と。
別にイスラーム実践してる人に「謙遜するな」とは言わないですけど、
ある程度イスラーム的なことをしている人が言う「私なんて全然出来てなくて〜」という言葉は、
本当に全くイスラーム的なことはやっていないと言う人と、そうでない人の間に、
溝を作ってしまうきっかけにもなる
ということをある程度意識しておいた方が、
これから関わるかもしれない・周囲にいるかもしれない、
「結婚の為に入信したばかりでまだまだ勉強中の人」や「イスラームを実践してないパキスタン人と結婚した日本人女性」との関係を良好に保てると思います。
そしてイスラーム的なことを何も実践してない人も、
「イスラームを実践している人は自分とは違う」と思い込みすぎない方がいいのでは。
「宗教とか絶対無理!」「外に出る時に必ずヒジャーブつけるとか日本にいるのにおかしい」って考えすぎると、やっぱり自分から相手との間に溝を作っちゃいます。
自分に自信がないから周囲が気になる
イスラームを少しでも実践した生活をしている人の中には、パキスタン人と結婚しているのにイスラームの実践を全くしていない人について不快に思う人もいるし、
パキスタン人と結婚しているのにイスラームを実践していない人の中には、宗教に対して必要以上に拒否反応を持っていて不快に思う人もいる。
それはなんでなんでしょう?
自分と違うから?
同じ境遇の別の女性が同じようにしていないから?
なんで同じじゃないとダメなの?
宗教なんて、粛々と自分の中で向き合って実践すればいいもので、他者がどんな生活をしていようと関係ないし、
誰かが何か特定の宗教を信仰していることで自分が迷惑を被るということだってほとんどないはずです。
結局、日本人は真面目で、自己肯定感が低く、自分にあまり自信がないから
イスラームを実践してる人も、実践してない人も
自分と違う人が気になるし、自分が人と違うと不安になるのだろうなぁと思います。
本来宗教なんか関係なく、気の合う人とは友人関係を作れるものなのに、
宗教や宗教の実践というフィルターをかけて見てしまうことで、その機会を失ってしまってることだってあるかもしれません。
ちょっともったいない。
その方は礼拝、服装、断食等々キッチリイスラームを実践しておられます。
私はムスリムと結婚しているのに入信すらしていませんが、その方は「本当はムスリムと結婚するからにはムスリムになるべきだと思っている」と言いつつも、
私の考えも「そういう考えの人もいる」と尊重してくださっているので、別に何の問題もなくずっと交友関係を続けられています。
私もイスラムについてわからないことがあればその方に聞いたりするし、色々と勉強させていただくことも多いです。
人と違っても、堂々としていればいい
例え自分自身がイスラームやパキスタンに興味がなく、イスラーム的なことを一切何もしていない人も、
旦那さん以上にキッチリとイスラームについて学んで実践していきたい人も、
それが自分の選択であり、自分自身と自分の配偶者が受け入れているのであれば、
周囲が何を言おうが堂々としていればいいし、周囲と比較する必要はないというのが私の考えです。
「結婚したあと、イスラームをどうするか」なんて、その女性個人と、夫婦・家庭の問題。
人としても、夫婦関係のあり方も、他の人と全く同じなんてことあり得るはずないんだから、比較したって意味ないです。
そして、他の人に文句を言われる謂れもない。
例えパキスタン人と結婚しているのに、イスラーム的なことを何もしていなかったとしても、他の人・家庭と色々違ったとしても、それについて引け目を感じるようなことも悩むことも、一切ないですよっ。
ただ、イスラームのことやパキスタンのことなど、実践はしなくてもいいけれど、
「興味を持つ」ようにしてみると、旦那さんとの会話も増えるだろうし、
知識を得ることで、旦那さんが何故物事をそのように考えるのか、何故そういう行動をとるのかなどが、ちょっと理解できるようになり、
夫婦間のやりとりがよりスムーズになったりすることもあるので、
時間があればちょこっとだけ、イスラームやパキスタンに関する本を読んでみたりするのもいいんじゃないかと思います。
私の場合「相手が自分と違うから気になる」こともあり、
旦那が発言した宗教関連のことで「へえっ!」と思うことがあれば、速攻聞くし、調べます。
旦那は色々説明するのが苦手なので、私が色々聞きまくるとめんどくさがられますが…
私は元々、インドやパキスタンの宗教的・文化的なことに興味があるので、結婚前も今も、自分が実際現地に行くだけでなく、わりとイスラーム関連の本とかも読んでいます(他の宗教の本も読みます)。
ただ私としては、著者本人がムスリムで学者だったりする本は、イスラームバンザイ過ぎたり、何でもかんでも「イスラムはいい・正しい」とだけになりがちでぶっちゃけつまんないので、もう少し客観的なものや、読者自身に考える余地を与えてくれるような内容の本の方が好きです。
最近は「日本と言う国の中でのイスラーム」に興味があって、今度ここら辺も読んでみたいと思っている。
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その後どっちも読みました!
パキスタンやイスラームに関する本の感想一覧は「パキスタン関連の映画・本など」というタグでまとまっています。
「日本の中でイスラム教を信じる」と「日本とイスラームが出会うとき」の肝臓もまとめてあるので、ご興味がある方はチェックしてみてください。
周囲を気にせず、自分たちのペースでいるのが一番!
夫婦なんて、他人同士が一緒になるわけで、
パキスタン人との結婚の場合、さらにそれぞれの家族が関係してきたりもするので、
どこも多少はトラブルやストレスなんかを抱えているもの。
他との違いを探していたらキリがないし、他の人と比べて自分はダメだなって思ったってそれで何か起きるわけでもない(中には勉強意欲がわく人もいるけど)。
国際結婚だからといって「他と違う」からと固くなりすぎず、
ごくごく普通に「何か問題がある・気になることがあれば旦那さんに相談して、一緒に解決する」という生活をしていけばいいんではないでしょうか。
あんまり周囲を気にせず、自分のペースで生活していくのが一番です!
お読みいただきありがとうございました!
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