こんにちは、スズケーです。
私の押し入れに大量に入っている”シャルワール・カミーズ”。
パキスタンの民族衣装です。
日本人はシャルカミと略して呼んだりしています(私は言わないけど)。
インドでも基本的には同じものがあり、”サルワール・カミーズ”と言われています。
日本だと”パンジャビドレス”って言う方が、よく聞くかもしれません。
私が持っているのは、大体、パキスタンではなくインドで作ったものです。
以前も何度かシャルワール・カミーズの紹介をしていますが、
今回は、染め・プリントもののシャルワール・カミーズについて。
伝統的な手染めと、機械染め
シャルワール・カミーズは、既製品も売っていますが、
布を買ってきて自分のサイズに仕立てる事が多いです。
刺繍やパッチワークの入っているものより、プリントものの方がお値段が安いため、
普段着として重宝されているのはプリントものだと思います。
プリントにはいくつか種類があります。
大きくわけると、手染めと、機械染めです。
- 手染め
ブロックプリント(木版印刷)、タイダイ(絞り染め)、ろうけつ染め、シルクスクリーンなど - 機械染め
シルクスクリーン、インクジェット、昇華転写プリント(デジタルプリント)など
私は元々手工芸品が好きなのと、
WEBやらDTPやらのデザインの仕事をしていて印刷に携わる事もあるため、どうやって印刷してるのかなとか、そういうとこから気になったりします。
手染め
昔ながらの職人さんが一つ一つ手作業で染めていくのが手染め。
いろんな技法がありますが、有名なのは
木版のスタンプを使って布に模様を押していくブロックプリントとか、
染めたくない部分を糸で縛って染め残す絞り染め、
蝋を置いて染め残すろうけつ染めなんかでしょうか。
いずれも全て手作業になるので、時間もかかるし、もちろんお値段も上がります。
インドやパキスタンでは、高い技術を持った専門の職人さんが作業に従事していますが、
やっぱり手作業なので、多少の「間」というか、微妙なズレとかも生じます。
そういったものも風合いとして楽しめるのが魅力です。
着物と同じですね。
色落ち止めの熱処理も手作業になるので(してない場合もある)、
ものによってはかなーり色落ちします。
機械染め
印刷機を使ってたくさんの布を一気に染めていくのが機械染め。
手作業よりも短時間で大量の印刷ができるので、当然、お値段も下がります。
まぁ当然の事ですが、お店で普通に並んでいるものは、
「手工芸品だよ」というのを売りにしている作品やブランドなどでなければ、ほとんどが機械印刷です。
手染めと比べてのっぺりした雰囲気になるのが特徴。
ただ年々、印刷機の性能も上がってきていて
最近は、コンピューターでデザインした図案をそのまま印刷するデジタルプリント・デジタルデザインのものが人気です。
布屋さんに行くと、お店の人がとても得意げに
「ディジタール!」と言いながら、デジタルプリント・デジタルデザインのものを出してくる事が増えました。
デジタルプリントだと、使用する生地が化繊に限られてしまうのがネックですが、
細かいデザインも複雑な色合いやグラデーションも、コンピューター上のデザイン通りに、とても綺麗に再現されます。
なので、同じ機械印刷でも、図案によっては遠くから見た時などに刺繍かな?って思う位の奥行きや立体感なども出せます。
最近のハイブランドは、デジタルプリント向けのグラデーションや写真っぽい図案を使ったデザインを出しているところも多いです。
こういうのが、デジタルプリントとかデジタルデザインと呼ばれるものの代表的なシャルワール・カミーズ。
胸元に少しだけ機械刺繍が入っているっぽいですが、それ以外は全て印刷です。
図案が写真みたいに細かいのと、グラデーションが多用されているのとで、結構豪華に見えます。1セットの布に一気に印刷してしまうので、大体の場合、背中側にも全く違うデザインが用意されているのもポイントです。
お値段のわりに高級そうに見える。
これが多分、デジタルプリント・デジタルデザインが人気の理由だと思われます。
印刷技術的に熱処理しながら染めるので、色落ちもしにくいはずです。
ただ、使用されるインクが紫外線に弱いはずなので、長時間紫外線に当て続けると色あせしやすいかも。
お洗濯後は、陰干しがおすすめです。
染物屋
パキスタンやインドだと、染物屋さんもあり、お値段も安いので、
自分で好きな布を持っていって、好きな色に染めてもらったりする事もできます。
細い小道や路地裏などで、
色とりどりの布がぶら下げてあり、常にグツグツ鍋でお湯を沸かしているところがあれば、
それは染物屋さんです。
希望の色の見本を持っていけば、複数の染料を調合して、ぴったりの色を作ってくれます。早ければ1〜2時間でさっと染めてもらえるし、
1色で染めるのはもちろん、複数の色で染め分けとかもしてくれます。
インドのカシミールの刺繍が施されたサルワール・カミーズ用の布は、
ウールなどの冬物以外、ドゥパタ(ショール)用の布が付属していない事も多く、
私はそういう場合に、シフォンや薄手のコットンの布を買っていって、
サルワール・カミーズの布の色にあわせて染めてもらったりしました。
シフォンはカラーバリエーションが少ないため、色をちゃんと合わせようと思うと、どうしても染物屋さんに頼る事になります。
ただし!
昔ながらの染料を使った手染めになるので、やっぱり色落ちが激しい…!
たとえばこれ。
右側にある白っぽいシフォンがドゥパタですが…
これ、もともと一緒に写っているカミーズとほぼ全く同じ位の色で染めてもらったものでした。
それが今やこんな薄く…!
このシャルワールカミーズは、パキスタンに住んでいる時に着ていた3着のうちの一つで(荷物を増やしたくなかったので、住んでいる時も旅行中同様、服はシャルワールカミーズを3セット持っていったのみでした)、
当然、使用頻度も洗濯頻度も他とは比べ物にならない位多いので、仕方ないと言えば仕方ないです…染め直すかな。
シフォンは頭からかぶっていてもズレにくく便利ですが、
色落ちしたあとがホントに悲しいので
最近は、色落ち・変色しない最初からカラーバリエーション豊富な化繊のドゥパタを買ってしまう事も多いです。
ただ、化繊だとツルツルしてるので、頭からズレるのがネック。
インドにいる時に、胸元にピンでとめて使うだけなら全く問題ないんですけどね。
色落ちについてはこちらも参考に。
実際にどれだけ色落ちするか、写真を見るとビビります(笑)
オーダーメイドで本気で遊ぶ
染物屋さん以外にも、刺繍屋さんや革製品屋さん、ジュエリー屋さんなど、オリジナルオーダーをお願いできるお店はパキスタンやインドにたくさんあります。
お値段は、もちろん現地価格で考えるとそれなりですが、
日本の物価と比べるとびっくりする位安いです。
布、布の色、デザイン、そこにいれる刺繍…
全てを一から自分でデザインした完全フルオーダーの服とかも作れるので(シャルワールカミーズはもちろん、洋服も可能)、
お時間のある方は、一度挑戦してみると楽しいと思います。
レザージャケットとかジーンズも、自分サイズでフルオーダーできます。
(そして希望すれば、リーバイスとかのブランドタグもつけてくれます(笑))
ただし!
こちらの指示をちゃんと理解しなかったり、勝手にアレンジ(手抜き)をする事も多いので、
職人さんとはっきり意思疎通できる語学力・間違ったら何度でもやり直させる交渉力・ひたすら待つ根気・くじけない精神力は必須です…!
すぐイライラしちゃう人には向かないかもしれませんが、
「過程も楽しめる人」だったら、きっと楽しいと思います。
ちなみに、シャルワールカミーズは、日本でも通販などで購入できます。
「シャルワールカミーズ」よりも「パンジャビドレス」で検索した方が色々出て来ますよ!
(2024/11/21 19:50:20時点 楽天市場調べ-
お読みいただきありがとうございました!
コメント欄はちょっと下にあります。承認式ですが、コメントはお気軽にどうぞ。
パキスタン、フンザ旅行に関する情報記事の一覧はこちらから!
治安、旅行ガイド、両替やATM、フンザへの行き方など、ブログ内のパキスタン旅行や滞在に関する必要情報・便利情報をまとめた目次(サイトマップ)です。
デザイナーとライターをしています。お仕事のご依頼やご相談もお気軽に。
ブロックプリントしているところ、実際に見てみたくなりました。
素敵だな~。
次にパキスタンに行く時には立ち寄れるように、リクエストしておきます!
>Mintさん
インドだと観光客が体験できる(そしてその後お買い物を勧められる)工房もありますが、
パキスタンはどうか…
パキスタンのブロックプリントだと
シンドのアジュラックと呼ばれるものが有名です。
大きな都市で行われる各州の手工芸を紹介するイベントなどだと、
おそらく実演が行われていたりするかと思います。
>スズケーさん
詳しい情報ありがとうございます。
早速調べちゃいました。
工房へ行かれた方のブログがあったので、見てましたが、やっぱり面白そう。
いつか必ず…。
>Mintさん
アジュアラックやってる地域は、
イスラマバードからですとかなり遠いですけどね。
イスラマにあるロク ビルサ博物館でも
見れる機会もあるかもしれません。
民芸博物館です。