こんにちは、スズケーです。
先日、パキスタン人の知人のお兄さんが警察に捕まりました。
不法就労助長の疑いだそうです。
日本とパキスタンは1961年〜1989年までの間、査証相互免除協定を結んでいたため、パキスタン人が容易に日本に来ることが出来たこと、
日本のバブル景気にともなって建設現場や下請け工場などで単純労働力者が不足していたことなどもあり、
たくさんのパキスタン人が来日し、そのまま不法滞在者となって働き、そして日本人と結婚するなどして在留資格を得て、そのまま日本に住むことになりました。
この本でインタビューされている日本人女性のパキスタン人夫も「元は不法滞在者」という人がかなりの割合でいました。
一昔前は「不法滞在者でも日本で日本人と結婚すればそのまま継続して日本に在留して、仕事もすることが出来るのが当たり前」な風潮がありましたが、
今ではそれは、なかなか難しくなってきているようです。
日本で働きたい外国人、
今は不法滞在後に結婚して在留特別許可を狙うより、短期滞在中に難民申請をするケースが増えています。
目次
不法滞在の外国人らを自らの会社で働かせる 自動車整備会社の52歳社長を逮捕
ネットのニュースを見ていたら「ヤード」という単語が出てきて、フーン?と思ってみてみたら、
まさかの見知った景色の映像が飛び込んできてびっくり。
ニュースはこちら。
不法滞在の外国人らを自らの会社で働かせる 自動車整備会社の52歳社長を逮捕
愛知県警は春日井市にある車の解体施設いわゆる「ヤード」を捜索し、経営者のパキスタン国籍の男を不法滞在の外国人を働かせていたとして逮捕しました。
逮捕されたのは、春日井市の自動車整備会社「カマル・モーター」社長で、パキスタン国籍のカキ・ジャン容疑者(52)です。
愛知県警によりますと、カキ容疑者は不法滞在と知りながら、共に逮捕されたパキスタン国籍の男2人(44・47)を雇い、自らの会社で働かせていた不法就労助長の疑いが持たれています。
名古屋出入国在留管理局からの情報提供で、愛知県警は16日会社を捜索し、従業員らに在留資格がないことが確認されたということです。
調べに対し、カキ容疑者は容疑を否認し、ほかの2人は容疑を認めています。
また、カキ容疑者と同居していたルーマニア国籍のクク・レオナルド容疑者(42)も不法残留の疑いで逮捕されましたが、容疑を否認しています。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200117-00026264-tokaiv-l23
カマル・モーターの名前、カレー好きなみなさんは、もしかしたら「あれ?なんか聞いたことあるかな?」って思った人もいるかもしれません。
春日井市にあるアジアン食堂サキーナという、掘建て小屋のようなパキスタンレストランのすぐお隣にある会社です。
不法滞在・不法就労で捕まったパキスタン人二人は、
一人は日本人と、もう一人は日本の永住資格を持つフィリピン人と結婚し、
名古屋の入管に出頭して在留特別許可が欲しいと希望していたそうなのですが、まだその結果が出ておらず、その期間中に働いちゃったみたいです。
一緒に逮捕されたルーマニア国籍の方も同様の状態。
やっぱり今は、不法滞在後に日本人や日本の永住資格を持つ外国人と結婚しても
簡単には在留は許可されないんですね。
裁判などを起こさない限り、捕まった二人は奥さんを残してパキスタンへ強制送還でしょうか…
彼らの奥さんらは「夫は何も悪いことはしてない」と思ってるかもしれないけれど、
不法残留も、出頭後に在留特別許可を希望し、結果が出るまでの間に就労することも違法で、退去強制が執行される十分な理由になるものです。
不法滞在者と結婚するということは、こういうことが起きるかもしれない、と言う覚悟もいりますね。
不法滞在よりも難民申請
在留特別許可と就労
不法滞在者が日本で日本人や日本の永住資格を持つ外国人などと結婚した場合、そのまま日本に在留するために、在留特別許可を希望する場合がほとんどです。
在留特別許可とは
在留特別許可というのは、退去強制事由に該当する者のうち、法務大臣の自由裁量によって与えられる在留許可のことで、
法務大臣から在留特別許可を受けることにより、不法滞在などの非正規在留から、合法的に引き続き日本に在留できる状態になります。
在留特別許可を希望する申出が認められず、退去強制令書が発布されてしまうと、
本国へ帰国しなければならなくなるのはもちろん、数年間の上陸拒否期間内は日本へ入国することも出来なくなります。
不法滞在をした後に入管に出頭し、
日本での結婚などを理由に在留特別許可を希望しても、それが許可されるまでは「不法在留」という在留ステータスは変わらず、不法滞在者は不法滞在者のままです。
不法滞在者は就労資格がありません。
在留特別許可が下りるまで、どれだけ時間がかかったとしても、他の在留資格を得ることは出来ず、就労は一切できません。
生活のために仕事をすれば、今回のニュースの様に「在留資格がない外国人の不法就労」ということで逮捕されてしまいます。
入管への出頭後も在留特別許可の可否の結果が出るまでの間に就労することが出来ないのは「不法残留」という立場が変えられない以上、仕方がないことなのかもしれませんが、
その結果が出るまでに何ヶ月、下手したら年単位で待たなければいけないというのはいかがなものかなと思います。
働けないということは、その間日本で生活するにも困るわけで(※難しいですが、場合によっては生活保護を受けられることもあります)、在留特別許可は出せないと思うのならば速やかに棄却して、退去令を出し、数年後の再入国を促してあげるべきではないのか、と。
出頭してから2年とか3年経っているのに、何の結果も出ていない、という人もいます。
慎重に審査しているからゆえなのかもしれませんが、結果が出るまでにそこまで時間がかかる必要性がわからない。
在留特別許可に関しては法務省が資料を公開しています。
法務省の統計によると、
2008年に在留特別許可を受けた人数は8522人(難民認定にかかわるものを除く)で、許可率は約80%、
2018年に在留特別許可を受けた人数は1370人で、許可率は約56%だそうです。
在留特別許可を受けた人数がこれだけ減っているのは、
許可率も低くなっているので、審査が厳しくなってきているのも関係あるかもしれませんが、
それ以上に、バブル景気の時代から不法滞在していた外国人が減ってきたことと、
難民申請者が増えてきたこととが一番の理由かと思います。
難民認定申請は、結果を待っている間も就労できる
オーバーステイの後、出頭をし在留特別許可を希望しても、結果が出るまで就労は出来ませんが、
難民申請の場合、申請をしてから半年経てば特定活動の在留資格を得ることが出来、就労も可能になります。
「難民認定申請をすれば日本で就労できるというものではありません」と日本政府は訴えていますが、
実際は、素人の私が見ても「明らかに嘘の申請で、難民に該当しないでしょ、こんなの…」って思うような人・理由でも申請は出来てしまうし、
申請すれば難民認定結果が出るまで1年以上かかるし、
申請して6ヶ月以降から、特定活動の在留資格を得て、合法的に働く人がほとんどです。
不法滞在して、結婚などを理由に在留特別許可を希望しても、結果が出るまで時間がかかり、その間就労は一切できない。
しかも在留特別許可が得られるかどうかもわからない。
ならば「なんとかして日本で働きたい」人は、短期滞在ビザで来てさっさと難民申請した方が得、ということになります。
難民申請をすれば、ほとんどの場合就労が可能に
先ほどの「難民認定申請をすれば日本で就労できるというものではありません」では、以下のように明記があります。
2018年1月15日、この運用を見直みなおし、1951年難民条約上の難民に明かに該当しない申請者は、難民認定手続中であっても、日本での在留も就労も許可されません。そのような申請者は、在留期間の経過後、出国のための手続(退去強制手続を含)の対象となります
日本政府も「就労目的で虚偽の難民申請をする外国人が増えている」ことは重々承知で、そう簡単には就労許可は出しませんよ、と宣言しています。
名目上は。
2020年1月現在、就労制限の対象となる難民認定申請者は、以下のように振り分けられます。
- A案件
難民条約上の難民である可能性が高いと思われる案件、又は、本国情勢等により人道上の配慮を要する可能性が高いと思われる案件
▶︎特定活動6か月付与 - B案件
難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を主張している案件
▶︎在留の制限が発生 - C案件
再申請である場合に、正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返している案件 - D1案件
本来の在留活動を行わなくなった後に難民認定申請した人、又は出国準備期間中に難民認定申請した人
▶︎就労制限が発生:「特定活動(3か月、就労不可)」 - D2案件
D1以外の人が該当
▶︎申請等から6か月:「特定活動(3か月、就労不可)」を2回許可
申請等から6か月経過後:「特定活動(6か月、就労可)」
私は色々あって、インド人やパキスタン人の難民申請者に関わることも多いのですが、
恐らくほとんどの難民申請者は「D2案件」に分類されるようで、
私が知る限り「そう簡単には就労許可は出しませんよ」って政府が言ってる割には、
短期滞在から難民申請を行ったみなさんは、ほぼほぼ、6ヶ月後には就労可能な特定活動の在留資格をゲットしています。
難民申請をしてから就労できるようになる特定活動の資格が得られるまでの6ヶ月の間に入管が行う面接は大体の場合1回。
その間、申請者への連絡もほぼなく「難民か否か」の調査をしている様には到底見えません(いや、してるのかもしれないけど)。
難民申請さえすれば、半年後にはほぼ無条件で就労可能な特定活動の在留資格が出てるように感じます。
この就労可能な6か月の特定活動は、難民認定申請の結果が出るまでは更新が続きます。
初回の難民認定が棄却されても、退去命令が出るまでは申請異議申し立てすることが出来、その場合も就労可能な6か月の特定活動は更新できるため、虚偽でも何でも、難民申請さえすれば、ずっとお仕事が出来てしまう、という構図が出来上がっています。
彼の家はパンジャーブ州のそこそこ大きな都市にあり、実家には妻子もいますが、日本では未婚ということになっているようで、難民申請して働きながら、日本で婚活もしているようです。
色々最低。
難民申請と就労のこれから
一昔前は短期滞在ビザで来て
「不法在留→結婚→在留特別許可」が一般的でしたが、今はこれで簡単に在留特別許可が出ず、就労も許可されないため、
「難民申請→特定活動(就労可)→結婚→配偶者」が今のスタンダードのようです。
これなら働きながら嫁探しができます。
ただし「難民申請した」記録はずっと残るし、在留資格を難民申請中の特定活動から配偶者へ切り替えるのも、なかなか大変だそうですけどね。
結婚後に永住権の申請をする時にも、「難民申請した」記録があれば「永住権狙いの偽装結構ではないか」と審査は厳しくなるでしょう。
実際はブローカーを通して日本に来れる人は100万円以上の金額を支払っている事がほとんどで、それだけの支払い能力があるわけで、かわいそうどころかパキスタンではそこそこ裕福だと思います。
最近のビザブローカーの間では、日本に来てから職を得るまでの「合法的な手段」として、
難民申請について説明し、日本へ来ることを勧めるのも一般的になってきているようですし、
今後も短期滞在ビザで日本に来て難民申請する外国人はもっと増えるでしょう。
テロや紛争の犠牲者として、安全に過ごせる場所を探してきた本当の「難民申請者」も中にはいるのでしょうけれど、
難民認定申請数の推移や、国籍別難民認定申請数の内訳をみると「就労目的での人がほとんどではないか」という印象を受けます。
残念ながらパキスタン人の難民申請者はとても増えている。
何らかの理由で「本当の難民申請」であるならいいのですが、私が見たパキスタン人の難民申請者はみなさん嘘だと思います。
ビザブローカーさんも、そしてそのブローカーの支払った手数料なども大体わかっている。
国籍問わず、どんな人が良さそうな人だったとしても、虚偽の難民申請をするような人を、私は「人として本当に誠実」とは思いません。
難民申請中の方で親切な人もいる。でも、違法行為を躊躇なくできるという以上、誠実な人間ではない。
「自分はビザブローカーに騙されたんだ」と言う人もいますが、「ブローカーに大金を払って日本のビザを手に入れようとする」考えが出てきて、それを実行するのがそもそも真っ当ではありません。
私利私欲のために難民申請するような人は、その後もきっと何の躊躇もなくろくでもないことをするだろうと思っています。
「ブローカーに騙されてかわいそう」とか同情する日本人もいますが、そういう人達も能天気だなと思います。
騙されたのではなく「都合良く考えすぎていた・思っていたのと違った」だけだろうし、
「ビザブローカーに騙され」という彼ら自身、命の危険もないのに難民申請し、日本政府や入管を騙そうとしています。どこがかわいそうなの?
難民申請に関しては、以前こちらの記事でもまとめています。
残念ながら一部の心ない外国人にとっては「難民申請中=難民ビザ=日本できる」という認識になってしまっている難民申請。
日本の難民の受入数や、難民認定される割合だけを見て「日本は難民に厳しすぎる」と言う人もいますが、
どんな人達が難民申請をしているのか、どんな理由で難民申請をしているのか、その難民申請は正しいものなのか、
そこら辺もよく考えた上で、日本の難民申請者に対する対応が適切であるのかどうかを考えてみるといいのでは?
私自身は、
誰でも簡単に申請できて、現状でも半年経てば簡単に就労許可が得られてしまう日本の難民申請制度について、
日本政府はもうちょっと厳しい体制を作っていくべきと思っています。
お読みいただきありがとうございました!
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