こんにちは、スズケーです。
昨年秋から今年の春にかけて、知人やその配偶者さんらが
永住者の在留資格を取得したり、配偶者の在留資格を得て来日したりしました。
そう、ビザ(査証)ではなく在留資格。
言い易いのと、外国人にも通じやすいのとで、
私もついつい「配偶者ビザを持っている」など、「ビザ」という言葉を使ってしまうのですが、
日本に長期滞在する外国人に必要で重要なのは、ビザ(査証)じゃなくて在留資格!
ここらへん、国際結婚をしている方でもよくわかってない…というか、曖昧なまま放置してしまっていることも多いと思うので、
ちょっとまとめておこうと思います。
曖昧さ回避のために、今後はちょっと気をつけて正確に表記していこう…
目次
ビザ(査証)と在留資格
さてさて、うちのパキスタン人の旦那。
現在、有効な日本のビザ(査証)は持っていません。
え、じゃあオーバーステイ=不法滞在って事!?と思うかもしれませんが、
いえいえ、オーバーステイではありません。
うちの旦那は、
有効な日本のビザは持っていませんが、
「永住者」という日本の在留資格を持っています。
日本に中長期滞在し、結婚生活や就労・就学などの活動を行うために必要なのは、ビザではなく在留資格です。
ビザ(査証)と在留資格の違いって?
ビザ(査証)と在留資格の違いを一言で簡単に言うと、
ビザ(査証)
日本に到着した際に、上陸許可(入国許可)申請をするために必要なもの
在留資格
上陸許可を得た後で、日本に滞在中に出来る事とその期限を示すもの
日本に滞在している間中必要となる資格
です。
よく「もうすぐビザの更新(延長)が必要」「3年間の配偶者ビザを持っている」などと言いますが、実際にはこれらは全てビザ(査証)のことではなく、在留資格の事を言っています。
正しく言うならば「在留期間の更新が必要」「3年間の日本人の配偶者の在留資格を持っている」となります。
ビザ(査証)と在留資格、それぞれの違いや、必要なシーンをもう少しだけ詳しく説明すると、以下のようになります。
管轄 | 申請・取得 場所 | ||
ビザ (査証) | 外務省 | 日本大使館、 総領事館等 | 「来日を希望する外国籍の方の所持するパスポートが有効であり、ビザに記載された範囲で旅券所持者を日本に入国させても問題がない」という推薦状のようなもの。 日本入国のための条件として、事前に在外日本公館においてパスポートに貼付される。 あくまでも上陸許可申請に必要な書類の一部で、ビザを持っていても日本への入国を拒否される場合もある。 |
在留資格 | 法務省 | 出入国在留管理庁 (入管) | 外国人が日本に滞在して活動できる根拠となる資格。 「〜の活動をするために○年○月○日まで日本に滞在してもよい」と示すもの。 在留資格により、日本在留中に行うことができる活動の範囲や在留期限が決まっている。 在留資格の種類や場合によって、在留期間の更新が可能。 |
ビザは日本に到着した際、上陸許可(入国許可)申請をするために1度だけ必要なもので、
在留資格は、その後日本に滞在する中で「○○(仕事や就学など)が出来ますよ、いつまで滞在できますよ」という許可・資格を与えて証明してくれるものなので、
日本に入国後、長期滞在する外国人にとってより重要なもの・長くお付き合いするものは、ビザではなく「在留資格」になります。
外国籍の方が日本に入国し、長期滞在をする場合、このような流れになりますが…
外国籍者の日本入国〜滞在の流れ
- 在外日本大使館・領事館でビザ(査証)発給申請・取得
- 海外から来日
- 入国審査
- 上陸許可後、在留資格取得(在留カード交付)
- 在留期間の更新、在留資格の変更など
ビザを使用するのは③の時だけ。
それ以降必要なのが在留資格です。
入国時に認められた在留期間を超えて日本に滞在する場合や、日本での活動内容(滞在目的)を変更する場合は、
出入国在留管理局で「在留資格」の更新・変更を行います。
ビザ申請書類には、母国での身分証明証や、職業、雇用先などを記入する必要があり、
在留資格の申請書には、日本での滞在目的や受け入れ先(家族、学校、勤務先)を明確に記載する必要があるため、
私は、ビザは母国(または在住する国)での身分を証明・保証して日本入国時の審査に使用するもの、
在留資格は日本での身分を付与・証明するもの、というニュアンスで捉えています。
ちなみに、在留資格として与えられた期間を過ぎているのに、
更新手続きもしておらず、日本から出国せずに留まっている状態がいわゆる不法滞在(オーバーステイ)で、
就労が認められていない在留資格であるにも関わらず仕事などをして金銭を得る事が不法就労です。
在留カード
上陸許可を得て在留資格を取得すると、
日本に中長期間滞在する予定の外国籍者に対しては、在留カードが交付されます。
在留カードは、外国人の間では「外人カード」と呼ばれていたりします。
旅行などが目的で日本に3ヶ月以下の短期滞在をする人や、在留資格を持たない人(不法滞在者)には交付されません。
日本人と結婚している、日系人である、日本で就労・就学するなど、
新規入国時に取得した在留資格が
「日本人の配偶者」「定住者」であったり、「技術・人文知識・国際業務」「経営管理」「技能実習」「留学」などの就労・就学関係など、在留期間が90日以上の中長期にわたるものである場合は、
入国時に空港で在留カードが交付されます。
日本に滞在する中で、在留資格を変更したり、在留期間を更新する場合は、
自分が住んでる場所の管轄の出入国在留管理局で申請をします。
在留カードには顔写真と共に、氏名や国籍、生年月日、住所、在留資格や在留期間などが記載されています。
また、在留カードそのものの有効期限もあります。
在留カードを見れば、その方がどんな在留資格で滞在しているかを把握する事ができ、
つまりは、日本で就労することができるのか?どんな業種に就労できるのか?日本に滞在できるのはいつまでなのかなどを知る事が出来ます。
日本に住む外国籍者の方にとっては、日本での自分の身分・滞在資格を証明する大切なカードです。
相手が既婚者ではないか?不法滞在や偽装難民申請者ではないか?と心配な場合は、
在留カードを確認する事で、ある程度相手の日本での状況も見えてきます。
在留資格があれば、ビザなしで再入国できる?
できます。
ビザはあくまでも、
「日本の在留資格を取得するために、入国審査の際に提出する推薦状」
なので、
すでに有効な日本の在留資格を取得していて日本に再入国する場合は、ビザを再度申請する必要はありません。
例えば、
「日本人の配偶者」の在留資格で、在留期限も残り1年以上ある外国籍の方が
一時的に母国に里帰りし(1年以内)、在留期限前に日本に戻ってくる場合は、
「以前に入国審査を終え、日本に滞在して活動する在留資格を得ており、その在留資格の期限も有効である」状態であるため、
ビザがなくとも日本に再入国が出来ます。
出国から1年以上経過した後に再入国する場合は、出入国在留管理局で「再入国許可」を事前に取得してから出国することで、
在留期間の有効期限内であればビザ不要で再入国できます。
在留資格認定証明書
さて、これまで説明した通り、
ビザ(査証)は 日本に到着した際に上陸許可申請をするために必要なもので、
在留資格は上陸許可を得た後に、日本滞在中に出来る事とその期限を示すもの。
日本に入国する際に取得する順番としては、
ビザ→在留資格なのですが…
申請するビザの種類や滞在目的によっては、事前に、在留資格の取得の仮予約的なものである「在留資格認定証明書(CESR)」をとっておくと、ビザ取得のための審査や入国審査がスムーズになります。
在留資格認定証明書
日本に入国を希望する外国籍の方が日本で行う予定の活動(生活・就労・就学など)が、
希望する在留資格の条件に適合しているかどうかを法務大臣が事前に審査し、その条件に適合すると認められた場合に交付される証明書。
「短期滞在」以外の在留資格で日本に入国しようとする場合に、事前に申請できる。
居住予定地の管轄の出入国在留管理局で申請する。
在留資格認定証明書…
外国人の方の結婚・就労・就学関連のビザを申請する際に
よく必要書類の一つとして書かれているあれですね。
実は、ビザの申請や日本に入国する際に、在留資格認定証明書の提示は絶対条件ではないのですが、
いずれの場合も、在留資格認定証明書を提示する事で、審査が迅速・円滑に行われるようになるため、
一般的には取得しておくのがおすすめです。
というか、絶対条件ではないものの、「ほぼ必須」みたいな感覚で捉えていいのではないかと思います。
外国人が日本のビザ申請を行う際に、この在留資格認定証明書を提示した場合、
「在留資格に係る上陸のための条件についての法務大臣の事前審査を終えているもの」として扱われるため、
ビザの発給に関する審査が迅速になります。
実際に日本に入国する際にも、出入国港において在留資格認定証明書を提示することによって、
入国審査官から在留資格に関する上陸条件に適合する者として取り扱われ、入国審査も簡易で迅速に行われます。
入国拒否される確率も大幅に減少!
在外日本公館としても、ビザを出す(入国を推薦する)ために、
その目的は本当か?入国後の生活基盤はあるのか?就労・就学先は確定しているのか?というのを確認したいのは当たり前で、
その重要な証明書類となるのが在留資格認定証明書って感じですね!
知人が在留資格認定証明書を取得せず、パキスタン人の旦那さんのビザをイスラマバードの日本大使館で申請しましたが、後日いくつか追加書類の提出を求められた後、ずいぶん待ったものの結局不許可となり、ビザは発給されませんでした。
半年後、今度は行政書士さんの勧めに従い、セオリー通りに在留資格認定証明書を取得し(申請〜取得まで3ヶ月程)、それを一緒に提出してビザ申請をしたところ、何の問題もなく5営業日程でビザが発給されました。
配偶者は日本人ではなく日本に住む外国人、出会いはSNS、出会って半年程で結婚、20歳以上の歳の差がある、パキスタンで結婚手続きを行う際の1度だけ短期間しか会っていない…
など、申請条件的にはあまり良いものではなかったかと思いますが、
2回程、出入国在留管理局に追加書類の提出を求められた後、3ヶ月程で在留資格認定証明書が発行されたそうです(日本で生活していく基盤はあるか?国外退去を受けた事があったり、犯罪歴などはないか?などの確認があった模様)。
なくてもビザ申請できるんでしょ?とか屁理屈こねず、フツーに在留資格認定証明書を取得してビザ申請をするのが、結局は日本入国・滞在への近道だと思います。
ビザ(査証)と在留資格の違いを把握する
以上、ビザ(査証)と在留資格の違いについて、でした。
ちょっとややこしいかもしれませんが、
日本国内で外国人(日本人も)が「日本のビザ」って言っているものは、大抵の場合、在留資格のことを言っているかと思います。
在留期間の更新の時なんかに、ついつい入管で「ビザの更新に来た」って言ってしまいますが、入管の職員さんには「在留期間の更新ですね」って訂正され、
ビザと在留資格が別物であると把握できていないと、「???」となってしまう事もあるかもしれませんので、
簡単にでいいので理解しておくと、色々スムーズかもしれません。
これね!
- ビザ(査証)
日本に到着した際に、上陸許可(入国許可)申請をするために必要なもの - 在留資格
上陸許可を得た後で、日本に滞在中に出来る事とその期限を示すもの
日本に滞在している間中必要となる資格
まぁ、ぶっちゃけ、この二つの違いが曖昧なままでも、
書類出せばいいだけだから申請手続きもできちゃうし、そんな困んないけどね!
なんにせよ、ビザや在留資格認定証明書の申請も、在留資格の変更・更新も、
基本的には、外務省や法務省の該当ページに記載してある書類を集めて、申請書に記入して提出するだけなので、
申請自体はそんなに難しい事ではありません。
追加書類が必要な場合はちゃんと連絡が貰えますし、事前にこちらから電話や対面で職員の方に確認する事も出来ます。
ビザの申請や在留資格の変更・更新などで、どうしてもわからない事がある場合や、
国外退去を受けた事がある、不法滞在歴や犯罪歴があるなどイレギュラーなケースの場合は、
さくっと行政書士さんにお願いするのも一つの手かと思います。
必要な事をしっかり理解し、準備して、つつがなく手続きを終わらせたいものですね。
ビザや在留資格の取得に時間がかかりすぎて疲れたり不安になったら
こういう体験談でも読むと息抜きになるかも。
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パキスタン人との結婚に関する手続きについては、こちらの記事にまとめています。
お読みいただきありがとうございました!
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パキスタン、フンザ旅行に関する情報記事の一覧はこちらから!
治安、旅行ガイド、両替やATM、フンザへの行き方など、ブログ内のパキスタン旅行や滞在に関する必要情報・便利情報をまとめた目次(サイトマップ)です。
デザイナーとライターをしています。お仕事のご依頼やご相談もお気軽に。
入管の職員さんも混同しているみたいですね。正しくは、在留資格の更新ではなく、在留期間の更新ですね。
タイ在住者さん
細かい点をありがとうございます!
「入管の職員さんも混同しているみたいですね」というのが、このブログ内に書いた事を指しているのであれば、
これは単に「こういう事もあるかもしれない」という例えであり、
私が書き間違えただけです(ご指摘いただいたので、今は直してあります)。