こんにちは、スズケーです。
2009年から預言者ムハンマドに対する冒涜罪で拘束されていたパキスタン人キリスト教徒、アーシア・ビビ。
2018年10月末にパキスタン最高裁により逆転無罪判決が下されました。
それに納得できない一部のムスリムのパキスタン人らが暴徒化し、
インターネットがつながりにくくなったり、幹線道路が封鎖されたり、無関係の人や車が襲われたりする事態も起きました。
無罪判決後も、判決への異議申し立てによりパキスタン国内にとどまらなければならない状態でしたが、2019年1月29日に異議申し立てが棄却されようやく本当に自由の身になりました。
アーシア・ビビの事件、ようやく終結?
パキスタン人キリスト教徒アーシア・ビビは、同じ村のムスリムの女性らとの口論から、預言者ムハンマドに対する冒涜罪に問われ、2009年より拘束されていました。
アーシア・ビビの自伝によれば、発端となった口論自体も、ムスリムの女性らがクリスチャンであるアーシア・ビビのことを「穢らわしい」といって罵った事が原因のよう。
彼女の事件に関連して、非ムスリムの人権を主張し、冒涜罪がキリスト教徒など少数派の迫害に悪用される可能性を指摘していた
当時のパンジャーブ州の知事サルマン・タシールや、シャバズ・バッティ少数民族相が殺されたりもしました。
事件の詳細や無罪判決が出るまでに起きた関連事件、無罪判決に対するパキスタン大統領イムラン・カーンの声明などは過去のブログでまとめていますので、そちらを参考に。
二度目の暴動はなし
裁判長は今回の異議申し立てに棄却について、
「当法廷は再審理を行わない。再審請求側の弁護士たちはアーシア・ビビの無罪判決に対して一つの誤りも指摘できなかった。証言の信憑性にも目を向ける必要があり、偽の証言では絞首刑を執行できない」と述べました。
無罪判決への異議申し立てが棄却された事により「また一部のアホなパキスタン人が暴徒化するのか…?」と、ちょっと心配だったのですが
今回はそこまでの大事にはならなかったようです。
一部の宗教指導者は今回も「判決がどうであれ、彼女に死を」と声をあげているようですが、少し前に既に一度暴れてガス抜きされているせいでしょう、
昨年10月末〜11月のような大騒ぎは起きていないようです。
パキスタンのニュース報道も、前回に比べれば静かなものです。
最高裁判所裁判官に大きな賞賛を
過去にアーシア・ビビを擁護した政治家が2名殺害されているという事件も起きていて、無罪判決を下した裁判官らにも死をという声も上がっている中で、
再度、公正で勇気ある判決を下した裁判官らには拍手を。
彼女を支援する英国パキスタンクリスチャン協会(British Pakistani Christian Association)の会長は
「彼女が自由を得た事は、パキスタンにおける平等と正義の進歩における大きな一歩だ。今もパキスタンの刑務所には、冒涜罪の罪に問われた犠牲者が40人以上いて、そのうち50%近くがクリスチャンである。今回のような謂れなき罪に問われる事件が二度と起こらないよう、パキスタンの冒涜罪は迅速に廃止されなければならない」
と述べました。
パキスタン国外からは
「これは最高裁判所の非常に勇気ある判断。法律が暴力に屈する事があってはならない。パキスタンの最高裁判所は私たちの最大の尊敬に値する。最高裁判所裁判官に大きな賞賛を」
という声が上がっています。
国際的に注目が集まっている事件だったということも多少関係があるのかもしれませんが、
パキスタンにも、こういった法に忠実で公正な判決を下せる良心と勇気を持った人がいるということにちょっと感動。
家族とともにカナダ亡命へ
異議申し立ては却下され、二度目の暴動も起きず、自由の身となったアーシア・ビビですが、依然彼女は危険に晒されていて、パキスタン政府の保護下にいます。
前述した通り「判決がどうであれ、彼女に死を」と煽る宗教指導者もいますし、彼女の死を求める一般人も多数いて、常に暗殺の危険に晒されていると言えるかと思います。
パキスタンにいる限り、彼女が安全に生活できる事はないでしょう。
一部のニュースでは、彼女が家族とともにカナダへ亡命するだろうと報道していて、
また、彼女の二人の娘は既にカナダにいる、という話もあります。
イギリスへの亡命と言う話もありましたが、イギリス国内に多数いるパキスタン系移民の事などを配慮すると、ちょっと難しいのでしょうね。
カナダへ亡命と言えば、パキスタンのネスレ粉ミルクによる乳幼児死亡事件を内部告発したアヤンも、カナダへ亡命しています。
ネスレ粉ミルクによる乳幼児死亡事件は「汚れたミルク」というドキュメンタリー風の映画にもなっていますので興味のある方はチェックを。
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政府の保護下にあるとは言え、この事件に関連して殺害された政治家も自身の護衛に殺害されていますし、保護されているからと言って彼女の安全が保障されていると言うわけではありません。
もちろん、それ国外へ亡命しても同じ事が言えるとは思いますが、パキスタンに留まるよりはずっとマシでしょう。
パキスタンの建国の父であるムハンマド・アリー・ジンナーは、
宗教的少数派もパキスタンの一部であると考えていたそうですし、
パキスタンの国旗にはイスラム教を象徴する緑とともに、イスラム教徒以外の少数派の存在を示すと言われている白色も使われています。
ムスリムではないから、少数派だから。
ただそれだけで迫害の対象となるのであれば、それはそもそも、パキスタンと言う国の理念にも沿わないはず。
これ以上何事もなく、アーシア・ビビとその家族が、
そしてパキスタンに住む全てのマイノリティの人々が平穏に生活していけますように!
パキスタンの宗教差別や、クリスチャンの生活に関してはこちらの記事もどうぞ。
お読みいただきありがとうございました!
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やっぱりすずけーさんはパキスタンをあいしてるね!(笑)
ひろさん
インドも同じくらい好きだよ…