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変わるフンザ 観光客がダメにする

変わるフンザ 観光客がダメにする
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こんにちは、スズケーです。

パキスタンはインドに比べ、外国人観光客は少ないですが、
ツアー客も個人旅行者もボチボチ見かけます。

大体の場合、みんな目的はパキスタン北部の景勝地・フンザ。

パキスタン国内旅行者が増えたフンザですが、マレーシア、インドネシアなど、これまで少なかったアジアの国々からのツアー客も増えてます。
日本人や韓国人、欧米人は、女性一人のバックパッカーもいます。

今のフンザは、ここ数年ですっかり変わり、完全な観光地になりつつあります。

スズケー
スズケー
滞在するのはものすっごく便利になりました!

 

完全に観光地化するフンザ

フンザへの行き方でも紹介したけれど、
ナラーン・バブーサル峠経由の道が整備されたことにより、フンザへのアクセスが便利になり、パキスタン人の国内旅行者がマイカーで大勢フンザに訪れるようになりました。

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その観光地としてのその人気は驚くほどで、
夏場のハイシーズンにはフンザの中心エリアであるアリアバード〜カリマバード周辺のホテル・ゲストハウスは軒並み満室。
宿泊代は昔の5〜10倍に跳ね上がりました。

空いている土地を持っている地元民は、即席の駐車場・キャンピングサイトとしてそこを解放。

それでも寝床を確保できなかった人々は大勢いて、カラコルムハイウェイ沿いにずら〜っとマイカーを停めて、その車の中で眠ったりしていました。

もちろん、それに合わせてレストランなども増えました。

昔からある地元の人向けのレストランではなく、完全に観光客向けのレストラン。
パンジャーブやカラチの人向けのパキスタンレストランや、ピザなどを取り扱うお店。
なんちゃってチャイニーズや、韓国料理の店なども。

お値段は地元の人向けのレストランの3〜5倍ほど。
旅行者はそれでも気にせず、どんどん料理を注文していきます。

「今でもまだホテルやレストランの需要はある」
「ホテルやレストランを作れば金になる」
ということをみんなが知ったため、
現在もあちこちの空いている土地でホテルやレストラン建設が進められています。

夜になると、あちこちでホテルやレストランの電飾が点灯します。
地上が明るくなったので、夜空に見える星はずいぶん減りました。

もちろん今でも十分すぎるくらいに満天の星空ではあるのだけれど、
「夜空に星がないところがない」くらいだった昔とは全く違います。

 

インド北部・ジャンムー・カシミール州にある街の一つ・レーは、
不便な場所にある割には、綺麗なホテル、オシャレなレストランなど、
旅行者に必要なものが揃えられている「旅行者のための街」ですが、
フンザ滞在のメインの村であるアリアバードやカリマバードも、すっかりそんな感じです。

前にも書いた、観光公害も増えています。

観光公害で悩むフンザ
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村だけでなく人も変わる

村が観光地化していけば、村だけでなく、そこに住む人も変わっていきます。

例えばインド。
観光客が集まるデリー、バナーラス、コルカタなどは観光客を狙った詐欺を働く人もいて、うっかりすると見事に騙されて、高額なツアーを組まされたり、二束三文のものを驚くほどの高値で買わされたりすることもあります。

フンザはパキスタンの中で、最も観光客、それも外国人観光客が集まりやすい場所の一つ。

フンザのお土産物屋さんでも、外国人向けにはほんのちょっと料金を上乗せして販売したりしていますが、
これに関しては驚くほどの法外な値段ではないですし、買う側が金額に納得して購入したならば問題ない、と私は思っています。
外国人である私達は、彼らのお給料の何倍もの金額のする航空券を自分で購入してパキスタンに旅行に来れるわけですし、
お店の人も、お金を持っているならば高く買ってほしいと思うのは当然ですしね。

 

外国人に接する意識が、良くない方向に変わってきている人も増えました。
特に気になるのが外国人女性旅行者への接し方。

スズケー
スズケー
パキスタンはイスラム国家で、フンザもムスリムの人がほとんどなのに、
外国人女性旅行者にベタベタ触るフンザの男性が多すぎ!

もちろん全員がそうではないですが…

ハグをしたり、写真を撮る時に断りもなく肩に手を回してくっついてきたり。
それくらいいいんじゃない?って思うかもしれませんが、彼らはムスリムです。

フンザの男性らはローカルの女性に対しては絶対にそんなことしませんし、
例えばラワルピンディーやペシャワールなど他の地域では、外国人女性だからといってそんなことをしてくる男性はほとんどいません。むしろみんな、触らないように体を離すくらいです。

女性に必要以上に近づく男性が増えたのは、明らかに、
外国人旅行者や、外国人女性に慣れてしまったフンザならではの問題でしょう。

ただこれらのことは、
フンザは安全って思い込んで注意を怠ったり、
パキスタンやイスラームのマナーやルールがわからずに相手に流されてしまったり、
体を触られてもニコニコ笑っているだけではっきり拒否をしないなど、

旅行者側の行動にも責任があると思います。

Backpacker

パキスタンを旅行する女性の方は、ぜひこちらも参考に。

パキスタンにいる外国人女性旅行者
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フンザでもトラブルは起きる

これまでにフンザで起きた、観光客関連のちょっとしたトラブルはこんな。
私が滞在している時にあったことだけでもこれだけあるので、小さいトラブルは他にもたくさんあると思います。

フンザで起きたトラブル
  • 鍵がかからず、誰でも出入り自由なドミトリー部屋のベッドの上にそのまま出しっぱなしにしてあった日本人旅行者のカメラが紛失
  • 日本人女性旅行者が夜に一人で道を歩いていて、通りかかった車に乗るかと声をかけられ、乗り込んだあと体を触られる
  • 日が落ちたあとに人通りのほとんどない細い山道にいた欧米人女性旅行者が襲われかける
  • 日本人旅行者が、ドミトリーで同部屋の他の旅行者の荷物から金品を窃盗
  • 日本人女性旅行者がお土産屋に入ったところ、出入り口のドアを閉められスタッフにキスを迫られる
  • ローカル男性に泊まっている宿と部屋を教えたら、夜にしつこく部屋にやってきた
  • バス移動の休憩中にバスの中に置いてあったサブバッグを切られて中の荷物を盗られる(厳密にいうとフンザではなくナガルで)

いずれも特別に大きな事件ではないですが、トラブルはトラブルです。
そして、自分がちょっと気をつけていれば防げたかもしれないことばかり。

 

「フンザは安全」と思っている人も多いかもしれませんが、
日本でだって、大事なものや高価なものを不特定多数の人が出入りするところにポンッと放置したりしないし、夜に声をかけてきた知らない人の車に乗り込んだりしないですよね。

普段当たり前のことを、普通にしてさえいれば、フンザは問題の起きるところではありません。

でも誰だって、目の前に誘惑があれば、それにぐらっとしてしまうことだってあるわけです。

その誘惑を「フンザは安全」っていう勝手な思い込みを持った外国人旅行者が、ぽんぽんあちこちに振りまけば、トラブルが増えるのも仕方がないことでしょう。

スズケー
スズケー
今のところフンザでは、インドで旅行者がひっかかるような大きな詐欺や、レイプなどの事件はないものの、小さなトラブルは昔よりも確実に増えています。

フンザで気持よく過ごすために気をつけたいこと

村が観光地化してしまうのは仕方がないことですが、
そこに住む人までが悪い方に変わってしまわないように、私達外国人旅行者もちょっと気をつけて旅行すべきと思います。

  • 安全だと過信しすぎた行動をとらない(貴重品の管理や、夜に出歩かないなど)
  • イスラム的なマナーを守る(特に男女の距離感など)

最低限この二つ。

旅行中に気をつけるべきごくごく当たり前のことだと思うのですが、フンザでは全く気にしてない人もよく見かけます。

スズケー
スズケー
なんでフンザだとそうなっちゃうの…

フンザは特別な場所ではなく、ちょっと景色がきれいだという、ごく普通のパキスタンの田舎の村です。
旅行者も、フンザだからと特別にいつもと違う振る舞いをするのではなく、いつもと同じように気をつけていれば、お互いに気持よく、トラブルなく過ごせます。

フンザの人も村もこのまま、
「いいところだったよ」と言ってもらえる場所であってほしいと思います。

 

ちなみに、フンザが便利になることや近代化することに関しては、私は悪いとは思わない。
そこに住んでいる人達が、納得して選択した結果の変化であるならば、
それは彼らにとって必要なのことなのだろうし、人々の生活が便利に豊かになることはいいことですから。

ただ、便利になったからと言って、
人の心がダメな方向に変わってしまうのは別問題だし、そんな必要ないでしょう?って言うことです。

幸せな生活・便利な生活に関する私の意見を知りたい方は、こちらの記事も参考に。

「持たない人」と「持てない人」
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お読みいただきありがとうございました!
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スズケー
フンザ出身のパキスタン人と国際結婚しています。 デザイナーとライターとアーティスト、時々通訳をしつつ、 投資もやってます。 お金稼いでパキスタンと日本とインドと、好きに行ったり来たりしたい。
 
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POSTED COMMENT

  1. Mint より:

    国自体の認知度が上がれば観光客が増えていき、観光客が落としていくお金で国が潤う。
    土地やお店を持っている人はより豊かになっていくでしょうが、今仕事のない人にまで仕事が回ってくるかと言ったらそうではない。
    格差が広がる一方。
    観光客を狙ったスリなどの犯罪も増える。
    難しいですよね。

    • スズケー より:

      >Mintさん
      コメントありがとうございます。

      もちろん、全体的な底上げにもなってはいますが、やっぱりどんどん潤うのは最初からお金を持ってる人や、ビジネスしてる人ですね。
      お金や、できることのない人は、
      今でも軍隊に入るくらいしか手っ取り早く稼ぐ方法がないです。

      スリは、スリができるほど人歩いてないです(笑)
      細い一本道なので、車はいっぱいですけどね。

  2. Ronin より:

    スズケーさんはじめまして。
    2018年にフンザに1ヶ月滞在してすっかりファンになってしまった者です。

    スズケーさんの事も現地の方(スズケーさんを知る方)と交流を持つうち
    に色々とお話伺っていました。

    こうして連絡ができた事を大変光栄に思います。

    僕は初めて去年フンザに訪れましたが自然の素晴らしさもさる事ながら
    出会った人たちとの触れ合いが今でも忘れられません。

    サイトの記事を読めば読むほど、今後フンザを訪れる際には「訪問客」
    である事を忘れず「滞在させて貰っている」という感覚を忘れないように
    したいと強く思いました。

    僕は去年の春頃に滞在しましたが日本で働いている今でもフンザでの、
    パキスタンでの思い出は何処の国よりも鮮明で思い出深い限りです。

    これからもHPでたくさんの情報を発信すること。
    応援させていただきます。

    素敵なフンザ。
    変わらないフンザがいつまでも残るように。

    • スズケー より:

      Roninさん

      コメントありがとうございます。
      私のことを知ってる方云々…ということは、ゼロポイントあたりのホテルにご宿泊でしたでしょうか?

      訪問客とか、そういうことまであえて意識する必要はないかなとは思うんですが、
      地元のマナーや礼儀に配慮する心は持っていたいなと思っています。

      機会がありましたら、またぜひ、他のシーズンにも足を運んでみてくださいませ!

  3. Ronin より:

    スズケーさん

    おっしゃる通りゼロポイントあたりに宿泊していた時にスズケーさんのお名前を聞きました!!

    パキスタンのこと、フンザのこと、楽しくて毎日HPの色々な記事を読ませて頂いています。

    また、ぜひパキスタンへ遊びに行きたいと思います。
    ご返信ありがとうございました。

    • スズケー より:

      Roninさん

      あ、やっぱり。
      大体誰がどんな感じで言っていたかなど想像がつきました…(笑)

      同じ宿に泊まれば、きっとスタッフの方はRoninさんのことを覚えてくれているかと思います。

      次回も楽しい滞在になりますように。

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