こんにちは、スズケーです。
知っている人も多いかと思いますが、
イスラム教徒は1年のうち、約1ヶ月間、日中の飲食を断つ期間があります。
それがラマダン月。
ヒジュラ歴(イスラム暦)によると、2023年のラマダン月は3月22日〜4月20日の予定。
3月下旬〜4月上旬ということで「フンザで杏の花が見たい!」と言う目的でパキスタン旅行を検討している場合、
今年はがっつり、ラマダンにかぶってしまいます。
日中に断食をしないといけないラマダン月に、パキスタン旅行は出来るの…?と心配な方もいるかと思うので、
今回は、ラマダーン期間中のパキスタン旅行についてご紹介します。
目次
イスラームの断食月・ラマダーン
ヒジュラ歴
イスラームには、ヒジュラ歴と言う、イスラーム社会で使われる暦があります。
月の満ち欠けを基準としている太陰暦なので、
太陽暦の西暦とは毎年11日ほどズレが生じます。
イスラームを国教とする国や、ムスリムが多い国では、ヒジュラ暦に基づいた祝祭日が決められていることも多いです。
同じ年のヒジュラ暦に基づく祝日でも、地域によって月の見え方が異なることから、国や地域事に1〜2日、日にちがズレたりすることもあります。
宗派によって異なる祭事などもありますが、
巡礼月にあるイード・アル=アドハーと断食月明けのイード・アル=フィトルは、全てのムスリムに共通する一番大きな祝日。
もちろんこれらも、ヒジュラ歴に基づいて日にちが決まります。
国や宗派によっては、科学的に割り出された月の満ち欠けを元に、
1年を通して最初から「今年のイードはこの日!」とカレンダーで決めてしまう国もありますが、
昔からの方法に法り「新月観測をすることで各月の始まりとする」という国もあり、
その場合はその月になってみないと各祭事の明確な日程がわかりません。
なので、ラマダンもイードも当日になるまでは「多分大体この日前後のはず」くらいしかわかりません。
ペシャーワル周辺だと「新月見えた!」と言って、パキスタン政府が定めた公式の日程より1日早く断食月を終了してしまったりすることもあります(笑)
- 1月 ムハッラム(Muharram)
- 2月 サファル(Safar)
- 3月 ラビーウ・アルアウワル(Rabi’al-‘Awwal)
- 4月 ラビーウ・アッサーニー(Rabi’al-Thani)
- 5月 ジュマーダー・アルウーラー(Jumada al-Ula)
- 6月 ジュマーダー・アルアーヒラ(Jumada al-Akhira)
- 7月 ラジャブ(Rajab)
- 8月 シャアバーン(Sha’ban)
- 9月 ラマダーン(Ramadan) 断食月
- 10月 シャウワール(Shawwal)
- 11月 ズー・アルカアダ(Dhu al-Qa’da)
- 12月 ズー・アルヒッジャ(Dhu al-Hijja) 巡礼月
- 1月10日 アーシューラー(フサイン殉教の日、シーア派の行事日)
- 3月12日 マウリド・アンナビー(預言者ムハンマドの生誕祭)
- 7月27日 イスラー・ワ・ミーラージュ(預言者の天国昇天)
- 9月 ラマダーン月(断食月)
- 10月1日から イード・アルフィトル(断食月明けの祭り)
- 12月9日 ウクーフ(巡礼(ハッジ)の中心的行事)
- 12月10日〜 イード・アルアドハー(犠牲祭)
※日付はヒジュラ歴の月日
ヒジュラ歴では、新月の観測とともに、夜に新しい月がスタートします。
天文学的に新月の時間はわかっているし、月や日の出・入り、礼拝時間はそれに従うのに、
月を目視で確認しないと次の暦に変わらないというのは何とも不思議なものです。
つか、そもそも新月って見えるの…?と思ったら 「(最初から見えないとわかってても)見ようとした努力が大事」らしい。
皆で見えないはずの新月を追い求めると言うのもこれまた趣があり、
1つの事で一緒に一喜一憂するのも楽しいもの。
ムスリムにとっては、みなで月を求めるという行為も、ラマダンやイードの一部であり、
ウンマとか、アッラーの創造物である宇宙や自然を感じるための行為なのでしょう。
なんとなく、花見だ月見だ蛍狩りだと、四季や自然の移り変わりを愛でて楽しむ日本人の感性にも通ずるところがある気がします。
ラマダーン
ラマダーンは、ヒジュラ歴で言う9番目の月のこと。
ラマダーン月は、預言者ムハンマドにクルアーンが啓示された月だと言われていて、ムスリムにとっては祝福に満ちた聖なる月。
正確な日付ははっきりしていませんが、ラマダーン月の最期の10日間の奇数日の夜(断食を偶数回終了したその夜)のどれかに、
預言者ムハンマドにクルアーンが啓示された「ライラト・ル・カドル(Laylat Al Qadr)みいつの夜)」があると言われています。
「ラマダーン=断食」と思われていたり、会話の中でそういったニュアンスで使われることも多いですが、
ラマダーンはあくまでもヒジュラ暦における月の名で、断食のことは「サウム」と言います。
この月の日の出から日没までの間、ムスリムは実行すべき五つの義務の一つである「断食(サウム)」を行います。
ラマダーンの断食は、日の出から日没にかけて一切の飲食を断つことで自制心を強め、
空腹や自己犠牲を経験して飢えた人や平等への共感を育んだり、
共に苦しい体験を分かち合うことで、ムスリム同士の連帯感が高まるのだそうです。
単に飲食を断つだけではなく、喧嘩や悪口や闘争などの忌避されるべきことや、喫煙や性交渉などの欲に直結するものも断ち、自身を清めてイスラームへの信仰心を強めるのも重要で、
クルアーンを読んだり、寄付や施しをしたりすることが推奨されています。
ラマダーン月に行うべきは単なる「断食」ではなく
「斎戒=飲食や行動を慎んで心身を清め、信仰心を持つ事」というわけです。
ただし、全ての人が必ずラマダーン月に断食をしなければならないというわけではなく、
旅行者や重労働者、妊婦・産婦・病人、乳幼児、老人、精神的に不安定な人など、やむを得ない事情のある場合には断食を免除されます。
また、月経中の女性と産後の出血中の女性は斎戒をしてはいけません。
一時的な病気や旅行などで断食を出来なかった分は、後からやれなかった分の断食をやり直すことで義務を遂行したとされます。
その他にも色々細かくルールがありますが、細かいところまで興味がある場合は、最寄りのモスクなどで訊ねてみるといいと思います。
ラマダーンについて説明している、かわいい絵本もありますよ!
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とあるパキスタン人の友人はラマダーンでも断食をしないのですが、なんでしないの?と聞いたら、
「ラマダーンはただ断食をするだけではなく、身も心も清く保ちつねに心に信仰を置いて生活してこそ意味がある。
でも自分は、いつどんな時でも目の前に女性がいれば”いい尻だな”って思ったり、”なんとかして落とせないかな”って考えてしまったりして、
断食だけしても意味がないので、断食しないのだ。」
と言われました。
ここまで開き直られると清々しかった。
パキスタン旅行とラマダーン
パキスタンはイスラームを国教とする国ですし、国民の大半がムスリムなので、
ラマダーン月にはパキスタンのほぼ全土で人々が日の出から日没までの断食を行います。
ラマダーン期間中はラマダン期間中の日中の営業許可を持っている外資系のレストランや大きなフードチェーン店を除き、
ローカル向けのレストランなどは、日中は店を閉めてしまいます。
ラマダーン月にパキスタンを旅行する場合、
飲食店が閉まっているだけでなく、公共施設の営業時間や交通機関の運行時間が変則的になっている事もあるので、注意が必要です。
外国人旅行者と断食
ムスリムではない私達日本人旅行者が日中に飲食をすることはもちろん禁止されてはいませんが、そもそも開いている飲食店が少ないため、食事がとりづらくなります。
ちょっとしたお菓子やパンが売っているお店なども、夕方まで開かなかったりするので、前日の夜にベーカリーなどでパンを買っておいたり、フルーツを用意しておくなど、
軽く準備しておくと便利です。
明らかにムスリムでないであろうと思われる外国人が、日中に飲み食いをしていても文句を言われることはまずありません。
(「目の前で飲食するのはやめてほしい」と言ってくる方もごく稀にいますが…)
むしろ、気にせずどうぞとお茶やジュースを勧めてくれたりもします。
ただ、私自身はわざわざ見せびらかす必要もなかろうと、断食をしている人の前で堂々と飲食をしないようにはしています。
暑い中バザールをうろついてる時とかは、お店の奥で隠れつつちょっとお水を飲ませてもらったりはしますけど。
ラワルピンディーでは、朝起きたら近所のちょっと高めのベーカリー(近所で日中、飲食物を購入できる開いている店がそこしかなかった)でパンとお菓子、ジュースを買ってきて、
朝昼兼用食としてホテルの部屋で食べていました。
飲食関係以外のお店でも、夕方まで閉めてしまうところもあるため(お店の人も断食しているので、日中は体を休めて家にいたりするので)、
ラマダーン期間中のパキスタン旅行は、日中はちょっとつまらない…と言うか、いつもより少し静かなパキスタン体験となるかもしれません。
そのかわり、夜はいつもより遅くまで開けてるお店が増えますよ〜!
ラマダン期間中のフンザ
フンザの人の多くが信仰しているイスラームのイスマイリー派。
ここ最近は、断食している女性も増えているようですが、
イスマイリー派の人々は、ラマダン期間中でも一切断食をしないという人も多くいます。
「ラマダーン月に食事を絶つのではなく、いつも心と精神に斎戒を」だそうです。
そのため一応、日中も飲食を提供しているお店は他の地域に比べれば多いものの、
以前より何かと取り締まりが厳しくなり、
フンザでも、ラマダーン月の日中に食事を提供する飲食店やホテルは、許可証をとらなければいけなくなったりしているし、
お店を開ける場合でも、シャッターを下ろしてこっそりひっそり営業しています。
他の地域に比べれば、ラマダーンの影響は少ないものの、
「いつもと全く同じ」とは思わない方が良いかと思います。
旅行のスケジュールに注意を!
ラマダーン月は日中に飲食が出来ない関係で、お仕事の時間が普段より短縮される事も多いです。
飲食店が閉まるのは勿論なのですが、
お店やバザール、公共施設の営業時間や交通機関の運行時間が「ラマダンタイム」として変則的になったり、
断食が開ける時間に一旦閉まってしまう事もあります。
パキスタンのお店・施設だけでなく、在パキスタン日本大使館も開館時間が時短になります。
公官庁施設に用事がある場合は、開館時間を確認する事を忘れずに!
また、ラマダン月だけでなく、ラマダン月が開けた後のイードの休日にも注意!
年によりますが、3日〜1週間程度がパキスタンの公休日となり、各種手続きができなくなります。
ラマダーン中のパキスタンの楽しみ方
ラマダーン中は、日中閉まっているお店が増えることで、旅行しにくいかなぁと感じるかもしれませんが…
ラマダーンには、ラマダーン中ならではの楽しみ方も!
断食のため、日中の街中はいつもよりも活気がなくなりますが、その分日没後はにぎやかになります!
ちょっとお高めのレストランなどだと、
イフタールと言う断食を解く食事のスペシャルメニューやビュッフェが用意されていることも。
断食が解ける時間が近づくと、バザールからはすっと人気がなくなります。
お店をのぞくと、みんな、フルーツや軽食、飲み物の用意をして日没を知らせるマグリブ(日没礼拝)のアザーンが響くのを待っている。
ただ通りがかっただけなのに、こっちに来いとイフタールにお呼ばれしたりすることも多いです。
パキスタンに知り合いがいる場合は「今日はうちにイフタールを食べにきて!」とあちこち引っ張りだこになったりするかもしれません。
飲食店以外のお店も、通常より若干遅くまでやっていたり、セールをしたりしているので、そういったお店を覗いてみるのも楽しいです。
確かに、日中の飲食は不便にはなりますが、ラマダーンならではって言うことも色々あるので、
興味があれば、あえて、ラマダーン中のパキスタンに行ってみるのもいいと思います!
ただ、夜に出歩く場合は、くれぐれもお気をつけて…
春〜ゴールデンウィークのパキスタン旅行手配はお早めに!
春の杏の花のシーズンも、ゴールデンウィークも、
ツアーの予約や航空券の手配はそろそろ始まっています。
特に春の杏の花のシーズンのフンザへのツアーはやっぱり人気で、
そこそこの料金のツアーでも、結構な人数の方々が参加して、フンザを訪れています。
フンザへのツアーを取り扱っている旅行代理店はいくつかありますが、
興味あるな〜という方は、早めに問い合わせることをおすすめいたします〜。
ツアー旅行と個人旅行の違いに関してや、持っていった方がいいものなどの旅行準備に関してはこちらをどうぞ!
個人旅行派の方は、今すぐ航空券のお値段をチェック。
予定が決まっているなら、早めに押さえた方が、航空券もお安めです。
フンザへのツアー旅行は、日本で手配すると40万円前後しますが、現地の旅行代理店に頼むともう少し安くなります。
ご希望の方はスズケーの友人らのやっている、現地旅行代理店を紹介します。
紹介できる代理店は、イスラマバードにある旅行代理店とフンザにある旅行代理店の2つ。
イスラマバードにある旅行代理店は、元々日本からのツアーも多数受け入れている大手旅行代理店で日本語ガイドをしていた方が独立開業してやっています(日本語成績優秀者で来日したこともあり、パキスタン地震の際には日本の自衛隊の通訳もしていました)。
紹介を希望される方はメールフォームからお問い合わせを!
私は紹介するだけですので、その後のやりとりなどはご自分でしてくださいね。
それ以外の旅行関連のご質問は、該当記事のコメント欄でお願いします。
誰か連れてってください(●´v`人)
お読みいただきありがとうございました!
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